予測出来る人生とそうじゃない人生
待っても待っても塾に誰一人として生徒が来ない時がある。年に三回くらい。
塾生がやって来る前提で、いろいろと時間調整をして僕は塾で一人待っている。6時を過ぎても7時を過ぎても誰もやって来ない。7時半、僕は重い腰をあげ、消灯して軽トラックに乗って帰宅の途に着く。
高校の授業が終わって5時間近く、塾に留まっていた僕は、一冊の単行本は読み終わっている。誰も来ないことがわかっていたならば、早く家に帰ってJAZZ小屋でジャズを聴くことが出来たのだろうけれど、仕方がない。生徒には生徒の都合があったのだろうと思う。
日常もそうだけれど、人生には予想が出来ることとそうじゃないことがある。
その最たるものが突然の病気であったり死だ。対処方はあるようでない。僕らのように高齢者になれば、どっかに覚悟は出来ている。しかし若い時は違う。
塾を開塾して35年になる。延べ人数で700名ほどを教えてきた。残念ながら知る限り、卒塾生のうち2名が亡くなっている。亡くなったことを知った時、交わした会話や授業の内容が蘇ってきた。
僕が生きていて彼女らはもういない。亡くなったその教え子の同級生の子どもが塾に入ってきたりすると、時の流れの速さに眩暈を覚える。
実は今日、塾にやって来たのは一人だけだった。三者面談が始まってほとんどの高校は午前授業だった。家に帰ってしまうと、塾に来るのは億劫になるもんね。
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