異空間でマヨイガに辿りついた
登山をしていて道に迷ったことは無いけれど、普通に町を歩いていて完全に方向感覚を失って、マヨイガに導かれたことはある。まるで空間が歪んだような感覚と言えばいいだろうか。
あれは45年前のこと。19歳の春のことだった。大学生になった僕は、せっかく高い授業料を払うんだし、勉強をしなくちゃいけないよなんて柄にもなく心を新たにしていた。バイトもあるし、ギターも曲作りも封印することに決め、新学期を迎えていた。
ギターはアパートに置いていたけれど、高校時代使っていたカセットデッキは壊れて使いものにならなかったし、曲を作ると言っても録音も出来なかったので、ちょうど潮時で音楽はいいかなと思い始めていたのであった。
そのまま何事もなく過ぎていけば、根が真面目な僕は(笑)、一生懸命勉強をして得意の英語を活かして外資系の一流企業にでも勤めていたかもれない。そして将来こんな貧乏話オンパレードのブログを書くようなこともなかっただろうと思う(笑)。
ところがである。訳あって八王子から町田に引っ越したのはいいのだけれど、僕が借りたアパートは、僕の大学の軽音部が貸し切っていたようなアパートだった。偶然にしては恐ろし。
そして不思議なことが起こった。引越して来て、ある日町田を散策しているうちに、完全に方向を見失い、旧国鉄の町田駅に行くつもりが、わけのわからない通りに出てしまった。今ならスマホがあるので位置確認が容易に出来るのだけれど、なにぶん45年前のこと。焦った。
すると目の前に中古専門店の店が現れた。まさに突然現れたと言う感じだった。
大特価という派手な看板の下に、ダブルカセット式のカセットデッキが売っていた。それも外部マイクがステレオ式で繋げるやつが。録音編集バッチリのやつ。それも特価の3500円で。買ってしまった。
そしてそのことが、僕の人生を変えて行くことになる。あの日あの店であのカセットデッキに出会わなければ、間違いなく僕の人生は変わっていた。卒業式に就職が決まっていないなんてこともなかったはずだ。そして塾教師 になることも。
しかし負け惜しみではないけれど、音楽は僕にたくさんの喜びと出逢いをくれた。音楽で飯を食べることは叶わなかったけれど、数えきれないライブをやることが出来たし、ラジオやテレビで僕のオリジナルが流れるなんて経験も出来た。
あの日僕はまさに異空間でマヨイがに辿りついたのだと思っている。
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