自殺はなぜいけないのか
高校生たちにとって死はずっとずっと先のこと。国語の授業で死について話し合うことがあるのだけれど、ピンとこない生徒も多いようだ。
夏目漱石のこころは、ずっと高校の教科書に掲載されてきた名作。恋愛と自殺と言う重いテーマだ。
友達に好きな彼女を取られたくらいでなんで死んじゃうの?と言う高校生の意見が多い。確かに現代社会で、失恋が自殺の要因になることは少ないだろうし、付き合ってもいない女性を友人に取られて死ぬという行為は、理解し難いものがあるかも知れない。
自殺は絶望が引き金になる。僕も親しい友人を失っているし、親戚にもいる。絶望は何処から来るのかと言うと、自分という個の喪失であり、深淵に飲み込まれたような孤独感から突然やって来るのではないだろうか。
生きていれば誰でも一度や二度、死ぬことは考える。僕も今ここで死んだら楽だろうなと思ったことはある。死ななかったのは、生きるエネルギーがほんの少しまさっていただけかも知れない。
自殺はなぜいけないのか。夏目漱石のこの作品に入る度に僕は授業で語ってきた。君と出逢うべき人が君と出逢えなくなってしまうんだよ。これが僕のアンサーだ。
人はなんのためにこの世に生まれてくるのか。働くためでもお金を稼ぐためでもない。出逢うべき人に出逢うために生まれてくるのだと僕は思っている。だから人生半ばで自分の命を絶つと言うことは、あなたに逢うために生まれてきた誰かを裏切ることになる。
自分の人生を全うすることは簡単なことではないかも知れない。しかし生まれることを決意したと言うことは、そういうことなんだと思う。

当塾のホームページはこちら☞➡大験セミナー
« 62歳の憂鬱 | トップページ | 33年間の感謝と挑戦 »
コメント