リモート授業の落とし穴
大学受験も高校受験も、勉強する気さえあれば、自宅の専用のパソコでいくらでも学べる時代だ。勉強するだけなら塾どころか学校も行く必要がない。無料のものから高額なものまで、パソコン学習はあらゆるレベルとニーズに応えてくれる。新型コロナウイルスはそういった状況を加速している。
新型コロナウイルス対策として、リモートワークやリモート授業が増加しているが、人間関係の構築の困難さが露呈しているのも事実である。リモートで学ぶことは、付随する感情の軋轢やストレスを経験せずして学習する状況を与えてはくれるが、逆に孤独感を助長し違う意味での感情崩壊を招きかねない。
集団行動の中で養われる癒しのようなものは、実は生きていく上で多大な効果を発揮している。生身の人間同士が触れ合うということは、常になにがしかのエネルギーの交換があるわけで、そこに生まれる磁場のようなものは、1プラス1が2ではなく、もっと多くの数値の力学が間違いなく働いているように思われる。
人が住む家についても同じような状況が言える。人が住まなくなると家はあっというまに傷み出す。換気が悪くなるという要因もあるかもしれないが、換気や手入れとは関係ない壁や屋根の崩壊が明らかに人が住まなくなった家は早い。人の気もしくはエネルギーのようなものが、関係しているのではないかと思っている。
不登校やニートの問題が新型コロナウイルスの陰に隠れて、クローズアップされなくなっているが、コロナ不登校やコロナニートが増加している。学校に行けない理由、職場に行けない理由をコロナウイルスの感染不安とするのはわからないわけではないが、実は引きこもりの方々の平均寿命が、普通に働いて結婚生活を送っている人より10年〜15年短いという統計結果が出ている。
自分の命を守ることが、学校での学習や会社での仕事より優先されるべきなのは当然のことだが、生身の人間関係が保てないのは、それはそれで大きなリスクになるということぜひ知っておいていただきたい。既婚者のリモートワークは社会の中で促進されて然るべきだが、独身者のリモートワークは推奨しかねる。同様に塾や学校のリモート学習も私は賛成ではない。
今年も後わずかとなった。クリスマスそして正月も終わると世の中はバレンタイン一色。しかしほとんどの中学校で、2月14日のチョコレート持ち込みは禁止されている。教育的見地からの指導のようだが、私は違う意見を持っている。結婚をしない若者が増えているのは、思春期の恋愛体験の無さが要因のように思える。どんな話題を異性に提供すればいいのか、どのような体験を異性と共有できるのか、これは思春期の経験がものを言う世界だ。結婚適齢期になったから、さあ頑張って恋愛を始めようは難しいだろうと思う。中学生の恋愛を推奨するわけではないが、チョコをきっかけに学べる人間関係は大きい気がする。
スマホ世代。恋愛までリモート学習とはいかないはずだ。人を好きになって傷ことも確かに多い。しかし間違いなく言えることは、人が人と出会うことでしか学べないことが人生にはいっぱいあるということだ。勉強も仕事もリモート主体になった社会では、人間関係の軋轢は少ないかもしれないが、人に接することでもたらされる癒しの力が減退していることは間違いない。人は人で救われる。忘れないで欲しい。

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