還暦に近づく年月を生きてくると、偶然と言ってしまうにはあまりにも不思議な現象に遭遇することが重なって行く。考えてみれば、この地球に生れ落ちて生きてきたことが奇跡のようなものなので、僕らの人生は偶然という奇跡の連続で生かされてきたのかもしれない。
79歳になる母が昨年倒れ、外傷性くも膜下出血で入院したのだが、入院中に認知症が進んだ。介護度4の認定を受けた。自宅での介護が困難なため、市内の特別老人ホームを探したけれど、どこも300人待ちで、3年から5年の空き待ちということだった。塾を休業することも選択しとして考えた時期もあったが、宮城県の一迫という町に有料ホームが見つかり、今年の2月からお世話になっている。
施設を探していろんなホームに出かける日々の中、入居の裏ワザがあることを知った。つまり一人暮らしの老人が優先されるため、大家族の場合、おじいさんなりおばあさんを家族の住所から抜き、一人暮らしに書類上してしまうというこいうこだそうだ。
その話を聞き、施設を辞した時、僕はなぜか分からないけれど車の中で号泣してしまった。50ちょっとで夫を亡くし、家族のために農業をやり、わが家の家計を助けて来てくれた母を、この状況で、たとえ書類上と言えども一人暮らしに出来る訳などない。いろんな思いがこみ上げてきた。
わが家の御先祖金田庄太左衛門を顕彰する石碑が県道沿いに立っているのだけれど、東日本大震災で傾き、危険な状況になっていた。母の入院中に区長さんが中心になり、基礎工事をしていただき、立派に修復して頂いた。恥ずかしい話、わが家の御先祖の顕彰碑でありながら、いつも数通りしてしまい、じっくり見ることもなかった。母の病院に毎日通う日々だったが、修復して頂いたこともありじっくり立ち寄ってみることにした。

顕彰碑のすぐ横に、上の写真のような石塔が建っていた。友人の小林先生が教えてくれたのだが、馬櫪神と書かれているのだそうだ。初めて目にする神様の名前だった。55年以上も住んできて気づかなかった自分も自分だけれど、御幣を自宅から持ち寄り、祀らさせて頂いた。
その後母を一迫の施設に家族全員で連れて行く日がやってきた。施設につくとその玄関正面には、秋葉神社という立派な神社が鎮座していた。

この神社には火伏や災害を守る神様が祭られているのだが、火伏祭の来歴をウエーブ上で調べてびっくり!その内容はこちら。
この祭りは、栗原市一迫・金田に居住していた伊達藩宿老、遠藤公時代からの伝統行事であり、約243年の歴史があります。この年はこの地区が「火早い年」ということで火の用心を申し合わせた。 秋葉神社に無火災を祈願し、無災害を願って郷土芸能を奉納し、各行政区ごとに山車を競い、手踊り、仮装行列を添え4年に1度、4月の第2日曜日に住民総参加で行うこととし、消防団による放水演習で防火の呼びかけを行う。
ご存じのように我が家の苗字は金田姓である。この偶然はなんだろう。いい意味でザワザワ感を覚えた。
この施設への入居から3ヶ月近くがたった。ものすごい勢いで母の状態は改善してきている。すでに車椅子は全く必要ではなくなったし、認知症もだいぶ緩和され、若干の記憶障害はあるけれど、日常の会話は普通に出来るようになった。トイレも食事も介護の必要が無くなった。奇跡と言っていいかもしれない。
今月に入って母を施設近くの病院に連れて行った際、僕は真摯に神社の神様に頭を垂れた。ありがとうと。そして鳥居の横の石塔を何気なく目にした僕はびっくり。

顕彰碑のそばに立っているのと同じ神様を祀った石塔だった。なんだろうこの偶然は。
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