季節外れのちょっと怖い話
子どもと言うのは怖い話が大好きだ。ゆえに僕のような人生経験豊かなおじさんに(笑)、怖い経験話を聞いてくる。
生徒たちが期待するのはお化けを見たとか、そういった類の話なのは重々こちらもわかっている。しかしあまり怖すぎてもいけない。塾が終るのが夜なので、怖くて帰れないと言うのでも困るわけで、サービス精神旺盛な僕は、ほどほどの怖い話をしてあげる。
神社オタクの僕は、不思議な経験はいっぱいあるが、怖い話というと持ち札はそれほどない。しかしあるにはあるので、今日は季節外れのちょっと怖い話を一つ。
僕は今の塾を開いて25年になるのだけれど、その前は、家庭教師派遣をメインとする個別指導塾に勤務していた。一関高専の学生さんの英語指導の家庭教師に行っていた時のこと。
土曜日の午後の指導ということで、自宅におじゃましたのだけれど、本人も家族もなかなか玄関に現れない。帰ろうとしたところ、80ぐらいのおばあさんが現れた。
「すいませんね、急用ができて家族はみんな病院に行っているんですよ」とのこと。
僕は仕方がないと諦め、事務所にキャンセルの連絡を入れた。
その夜生徒のお母さんから、祖母が亡くなり病院に行っていたので、連絡をしないで申し訳なかったですという電話を頂いた。告別式が終って、落ち着いてからまた家庭教師が再開した。僕は座敷に置かれた祭壇に線香をあげさせて頂いた。
遺影の写真を見て?
土曜日に玄関に現れたおばあさんにそっくり。
「土曜日の日に、玄関におばあさんが出てきたんだけれど、亡くなったおばあさんのお姉さんか妹さんが留守番していたのかな」と僕。
「祖母には兄と弟がいますけれど、姉妹はいません」と生徒。
教え子も、頭をひねって不思議がっている。
仮に玄関に現れたのが本人だとしても、その時間は病院ですでに危篤状態なわけだから、玄関に出てくるわけがない。
30年前のことだけれど、いまだに気になっていることである。
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