高校3年生の英語力は英検3級程度
文部科学省は17日、高校3年生を対象に英語の「読む、聞く、書く、話す」の4技能の学力を調べた英語力調査の結果(速報値)を公表した。「読む、聞く」の平均的学力は英検3級(中学卒業程度)相当、「書く、話す」はさらに低く、書くは過半数が正解率1割以下だった。国の教育振興基本計画の目標(高卒時英検2~準2級程度)とは大きな差があり、英語嫌いの生徒も多かった。
調査は国公立高校の約1割の480校を抽出し、3年生約7万人を対象に実施。4技能それぞれを試験し、国際標準規格「CEFR」の基準で、学力が中学レベル(A1=英検3~5級程度)から海外大学留学に必要なレベル(B2=同準1級程度)のどの段階に相当するかを調べた。
試験結果では、「読む」の平均点は129.4点(満点320点)で72.7%がA1評価。「聞く」は120.3点(同)でA1が75.9%。B2評価は0.2~0.3%だった。
「書く」でB2評価はわずか5人。英語の音声を英文要約する不慣れな出題形式も影響して点が伸びず、140点満点中15点以下が約55%に上り、0点も約3割いた。「話す」は各校1クラス程度の抽出実施で、A1が87.2%を占めた。
アンケート調査では、英語を嫌いな生徒が58.4%。海外留学やビジネスに必要なレベルの習得を目指す割合も約14%にとどまった。 (時事通信3月17日)
日本人の英語能力はなぜ低いのかということがずっと言われ続けてきた。学校教育がいつもその原因だと指摘されてきたわけだが、日本人は英語が必要じゃない国民だから、英語力が身につかないのだと僕は思っている。
受験に英語が出るので仕方なくやっているのだ。
国際社会・国際社会と連呼されるが、本当に英語が必要だと国民が思っていないから、日本人の語学力は近隣のアジアの国々のようにはならないのである。
よく言えば、日本語というものにプライドがあるのだろうと思し、英語を話す国々の人々に対して、世の中が論じるほどに、レスペクトしているわけではないのだろうと思う。
実は大学受験があるから英語を学ぶというのも怪しい。私立大学の定員の半数はいわゆるAO入試や推薦で決まる。英語のテストを受けなくても大学に入れるのだ。高校3年生の英語能力が英検3級程度というのは、逆に評価していいのではないだろうか。
30年以上高校生に英語を教えてきて実感することは、日本の高校生にとっての英語というのは、習字や華道のような手習いのようなもので、教養人としてのたしなみを身に着ける感覚なのではないかと思っている。
その証拠に、真剣に英語の真髄を教えようとすると、生徒は英語から離脱してしまう。塾でもそうなのだから、高校での姿勢もしかるべしである。受験に大切だと言えばこそ耳を傾けてくれるが、実務英語のレベルでは御免こうむりたいというのが、高校生の実情のようだ。
海外での仕事や英語教師を目指す高校生と、そうじゃない高校生の意識の差は歴然としている。受験英語というニンジンを鼻先にぶら下げても、普通に英語を使うレベルを日本人の高校生に浸透させることは難しいようだ。
僕らが英語指導で要求されるものは、やっぱり受験英語であるわけで、それ以上でもそれ以下でもないようだ。
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