本当に聞くだけで英語力は身に付くのですか?
一応英語教育が専門なので、英語に関する質問を頂くことが多いのだけれど、英語習得にかんすることで一番多く尋ねられることは、本当に聞くだけで英語力は身に付くのですかという質問だ。
巷では聞き流すだけで、英語が話せるようになる等の宣伝文があふれているせいもあるのだろうが、疑いを抱く人は多いようだ。
確かに、聞かないよりは聞いたほうがいいに決まっているが、英語が全く分からない大人が、英語を聞き流すだけで英語力が身に付くとは思わない。僕の教え子のお兄さんで、高校時代英語が全くできなかったにもかかわらず、高校卒業後アメリカに2年遊学して帰ってきてみると、発音も表情も完全にアメリカンというつわものがいた。そういった特異なパターンがあるけれど、10代という若さがもたらした効能だったろうと思う。
小さい頃は文法も語法もなんのその、国籍や民族性など関係なく英語をどんどん吸収していく。いや英語という言語感覚など意識せず、英語を習得していけるはずだ。しかし中学生ぐらいを過ぎると、理屈で英語を覚えようとする。これが時間がかかるし、莫大な言語習得のための労力を必要とする。
経済的環境がゆるすならば、高校時代に3年も英語圏で学べば、そりゃ一番手っ取り早い語学勉強になるだろうけれど、みんながみんなそのような環境に飛び込むことができるわけではない。かく言う僕も、生まれて54年間、一度も外国の土を踏んだことがない。出不精であることも確かに一つの要因だけれど、一番の理由はお金がないことだ。残念!
さて現代において一番有効な英語の習得は、レンタルDVDだろうと思う。英語の字幕で、英語音声の映画を見ることが、一番効率の良い英語勉強法だと思う。ただしこれも、少なくても中学英語の語法知識があってという条件が付くけれども。
つまり日本人の大人が英語を話せるようになるためには、中学レベルの英語の習得が基本にあるべきだと僕は考えている。中学の教科書がスラスラ読めて、意味が同時に入ってくるレベルがあれば、あとは一気に英語力は加速すんじゃないだろうか。それこそ英語を聞き流すだけでも、言語脳は活性化されて行くと思う。
そういう意味では、中学英語を高校入試があるからという意識で学んでいる中学生にとっては、ある意味不幸なことなんだろうなと思う。
英語圏に留学しなくとも、大学や語学学校で英語を学ばなくても、英語がペラペラの日本人は多い。そういった方々の語学習得体験を参考にすることはとても大事なことだと思うね。高校時代の彼氏がアメリカ人だったとか。母親がイギリス人だとか、田舎に住む僕らにはあまり参考にならない事例もあるのだけれど、きっとお金をかけず、宗教にも勧誘されず(笑い)、英語を習得する方法はあるはずだ。
文法書と辞書を片手に英文を必死に読みまくった僕らの世代は、本当に英語習得は大変だった。過去形で書いたが今でもそうだ。もうすぐ小学校で本格的な英語教育が始まる。数十年後、英語が普通に街中で話される日本の風景がやって来るのだろうか。きっと僕はもうその頃は存在していないだろうけれど、とても興味があるな。
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