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2015年2月18日 (水)

綱吉の気持ちがわかる気がするな・・・

作家で評論家でもある岬龍一郎氏は近著『日本人のDNAを創った20人』(育鵬社)で、こう語っている。

「この“生類憐みの令”が発布された理由にはその時代背景も考慮する必要がある。当時はまだ戦国の気風が色濃く残っていた時代で、加えて病人や牛馬などを山野に捨てたり、旅先の宿で旅人が病気になると病人を追い出したり、見捨てたりするといったことが普通に行われていたのである」

綱吉が吉兆を占ってもらった道士から、動物の殺生を戒められて、生類憐みの令を発した等の話が伝わっているが、真相は姥捨て山などの悪しき慣例を庶民にやめさせようとしたのが、法令の狙いだったのではないかとの、岬龍一郎氏の指摘である。

生類憐みの令は6代将軍・家宣の代に撤廃されたのだが、この後も幕府は老人や捨て子の禁止といった人間に対する法令はそのまま継続したという。

徳川綱吉と言えば、身長が124センチの低身長で、身体のコンプレックスなどが動物愛護という極端な政策に走った原因だという説もあるようだが、綱吉が低身長だったという説は、篠田達明さんという方が「徳川将軍家15代のカルテ」(新潮新書)で述べている説であって、史実は定かではない。

徳川家では亡くなった将軍のご位牌を身長にあわせて作ったという説から、徳川綱吉低身長説が生まれたようだ。

ところで僕が住んでいる一関では、『はかだち』という方言がある。農家の人たちが仕事に出かけることを意味する言葉なのだが、『墓を出て仕事に行くか』というニュアンスの言葉である。

気になって様々な方言の古書を調べてみると、どうも姥捨て山に捨てられた老人が、捨て山の小屋から、倅の田んぼに隠れて仕事に行くことの、隠語だったらしい。泣けてくる話である。

僕の地域では、老人ホームの空きがなくて50人待ち、100人待ちが当たり前だそうだ。老人介護は確かに大変だけれど、老人ホームに自ら好んで行く人はいないのではないだろうか。なんとなく綱吉の気持ちがわかるような気がするな。

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