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2014年12月30日 (火)

今年読んだ本の中で一番おもしろかった小説

熊谷達也氏の小説『邂逅の森』は2004年に、第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞した。この『邂逅の森』のダブル受賞は文学界初の快挙だった。特に直木賞に関しては、選考員全員がこの作品を推したと言われている。

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熊谷達也氏は、僕の町の隣町である登米市の出身である。小説の舞台に登場する町も、一関や気仙沼そして仙台などの地元の町が多く登場する。そういう意味では、とても親近感を覚える作品が多い。

邂逅の森は戦前の東北のマタギの世界を描いた作品だ。寒村における生活の辛さ、そして厳しい自然と向き合う素朴な人々の家族愛や人間愛が切々と語られていく。

熊狩りに命をかけるマタギにとって、山との共存は時に多くの矛盾を抱える。生活の糧としての狩猟と、山神の支配する聖地の生業に、揺れ動く狩猟民の息遣いが聞こえて来る。

人間の哀しみは、生きることの苦しみではなく、生きることに希望が見いだせないことだ。食べるものがあり、愛する人間がそばに居てくれる。それが究極の希望なのではないだろうか。

森の中には実に多くの邂逅がある。鳥や獣たちの気配。時に異界の住人たちの視線を感じることさえある。

森の恵を僕らはいつの時からか忘却してしまった。山を美しいと思う気持ちと、山を慈しむ心が乖離すれば、僕らは行きてはいけない気がする。

邂逅の森は、読む人に、魂の故郷への邂逅をいざなってくれるのではないだろうか。

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