J.Dサリンジャー『フラーニーとズーイ』
この本、3月まで勤めていた修紅高校の英語科のK先生から頂いたものだ。J.Dサリンジャーの『フラーニーとズーイ』は若い頃に手にしたことがあったが、メタファーの落とし所がいまいちついていけなくて、理解が難しい本だという印象がうっすらと残っていた。
今回頂いたこの本は、村上春樹の翻訳によるもので、『ライ麦畑でつかまえて』を凌駕するくらいの傑作にリメークされている。実におもしろかった。
シチェーションは、兄と妹の会話が自宅でなされるという、いたってシンプルが展開なのだが、家族がゆえの愛情とボタンの掛け違いが、日常の芸術性から宗教の問題まで、深遠な話題を模索しつつ、人間の脆さと知性の脆弱さが、とても鮮烈に描かれている。
それにしても村上春樹の手にかかると、サリンジャーさえも、村上ワールドのリズムに溶解して行ってしまう。
ゴールデンウイークにお薦めの一冊です。
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