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2013年12月22日 (日)

やんごとなき時代だけれど

僕が今の塾を始めたのは、バブルの時代が終焉する直前の頃だった。大学受験の英語専門塾として開校した僕の塾は、私立大受験が華やかな頃で、全く無名の個人塾のわりには、多くの高校生に利用して頂いた。

そもそも大学受験の英語だけを教える塾なんて、その当時は一関に無かったので、珍しさも手伝って、順調な船出だった気がする。

しかしバブルが崩壊すると状況は一転した。私立大学に子どもを入れる余裕がなくなり、国立大志向がいっきに加速した。すると英語よりも数学や理科系の科目の需要が増え、英語そのものの需要は激減した。

14年前に、高校生の英語部門を縮小し、高校受験のための5教科指導に塾の指導を切り替えた。大手塾の月謝高に救われ、リーズナブルな月謝金額の僕の塾は、9坪にも満たないガレージを改造した教室に、100名を超える塾生を抱えるまでになった。しかしそれもつかの間。

少子化の波は、高校入試の倍率をいっきに下げ、進学校以外の公立高校は、軒並み定員割れの時代に突入した。おのずとほとんどの塾は、一関第一高等学校や一関高専などの難易度の高い学校への受験指導を旗印にする塾が増えた。

リーマン・ショックがやって来て、そして東日本大震災が来た。中学生の塾通いが急速に減った。

入れる高校に入れればいい。そんな雰囲気が全体に漂い始めた。高校に入ったものの、受業についていけず辞める生徒が増えている。私立高校では授業料未納の生徒が増え、学校の経営を圧迫する状況が生まれている。

分数の計算が出来ない高校生。アルファベットの小文字が書けない高校生が、増加している。そんな状況がいいわけがない。

たとえ高校に入ったにしても、基礎学力が無ければその先が大変だ。家庭の経済力の危機が、家庭の生活力を奪うだけではなく、教育を施す姿勢さえも奪ってしまっている。

学歴がなくても生けてはいけるが、知性が無ければ、この時代を生き抜くことは困難を伴う。生きる力の基礎体力は実は幼児期に形成される。その大切な時期が、やんごとなき理由で、完璧に施されてはいない。

また奨学金の問題も由々しき状況だ。奨学金の返済のために結婚さえままならない若者が急増している。消費者金融なみの利息が、奨学金に付随する時代、何が奨学金だという怒りの声が聞こえてくる。

かく言う僕も、高校も大学も私学だったので奨学金には大変お世話になった。返済が終わったのは42歳の時だった。利息のない奨学金だったから良かったものの、利息があれば大変だったろうと思う。

僕の塾の月謝金額は、開校当時の半分になっている。朝三暮四のごまかし設定をしているわけではない。保護者の皆さまの教育費の負担をできるだけ軽減したいとの、僕の想いだ。しかしそれでも、お金が工面できないご家庭が多いのだろうと思う。親の経済力と、子どもの幸福度が、教育の有無によって構築されて行く社会にずっと腹ただしさを感じてきた僕だが、今やその想いはマックスになっている。

人生の幸福感が、お金に左右される社会だ。仕方がないと、ため息をつくことは簡単だけれど、お金に惑わされない強靭な精神は必要だ。

自宅教室のクリスマス会で、ライヤーを演奏しながら、目を輝かせている子どもたちを前にして、静謐な時間を子どもたちと共有できる喜びをかみしめていた。

ハーレルヤ!

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コメント

霞ヶ関の官僚は言葉の操作によるマインドコントロールが得意ですが(笑)、この際、返済しなければいけない借金は奨学金とは言わずに、グローバルスタンダードに準じて、”教育ローン”と正確に表記すれば分かりやすいのでは?

(かねごん)
コメントを頂きありがとうございます。
まさにその通りですね。
普通の教育ローンですよね。先進国でありながら、これほど教育費の支援が雑な国もないですよね。

かねごん様

 お早う御座います。当地は今朝、氷雨が降っております。

 この日のブログ、慎重にそして注意深く読了しました。
 単に、岩手県一関市の教育事情や社会状況が窺えるだけでなく、此処30年ほどの日本社会の趨勢や、国民心理の全般的な変遷動向まで描写されており、
 街角の私塾から見える「人心の変化」と、その対応に全力を尽くして来たかねごん氏の努力奮闘に感嘆しました。お疲れ様です。

 東京などの大都市圏とは異なり、受験人口が限られている上に、大地震と原発爆発後は、経済的に逼迫している階層が出現した地方ならではの経営上の苦労まで陳述されており、他人事ながら「大変だなぁ!」と嘆息しました。

 冬休み講習会、ご健闘下さい。お元気で。

(かねごん)
Yozakura様コメントを頂きありがとうございます。
塾屋稼業は実に大変です。
大変ですけど、やりがいのある仕事です。
だからとことん頑張れます。
エールありがとうございます。やる気をもらいました。

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