快楽の餌
「ねじれ国会」解消により今後成立する可能性が高まった法案がある。IR(統合型リゾート)推進法案、通称「カジノ法案」だ。産業競争力会議などで議論が進んでいる他、安倍首相はカジノを推進する超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の最高顧問を務める。いよいよカジノ解禁が現実味を帯びてきた状況だ。
カジノを議論する上で、外せないのが、遊技人口1260万人、市場規模18兆円を誇るパチンコ業界の存在である。カジノ解禁の暁には企業に運営を委託することになるが、現時点で国内に運営ノウハウをもつ企業は存在しない。比較的業態の近いパチンコ業界にとっては好機であり、実際幾つかの企業が動きを見せる。
パチンコや競馬で財産をなくしたり、家庭崩壊してしまった人たちを近隣で随分見てきた。景気の低迷が、自虐的な日常を生んでいる現実がある。
適齢期を過ぎても伴侶を見出すことが出来ない方々のストレス解消が、パチンコはじめとするギャンブルだったりするケースも多い。自分の稼いだお金をどう使おうと他人がとやかくいうことではないかも知れないが、ギャンブルは建設的な行為ではない。
カジノを認める政府の考えは、それによる税収入だろうけれど、暴力団等の暗躍する組織を活性化するだけのような気がする。
ねじれ国会が解消という表現を新聞やマスコミはするが、まるで自民党が両院で過半数を獲得することが、国民のメリットであるかのような表現だ。
かつてローマ帝国では、ボーナスと称して奴隷に女性をあてがった。快楽や欲望の餌を政府がみせびらかし始めるのは、その崩壊の兆し以外の何ものでもない。
東京電力福島第1原子力発電所では高濃度の汚染水が海洋に流れだし、レベル3の危険ゾーンになった。友人の小林先生も指摘しているが、その同じ日に、三陸の秋のサンマの季節がやってきたと報道する新聞やマスコミは、完全に麻痺している。
岩手はこれからきのこの季節がやってくる。山のきのこは絶対食べてはいけない。秋の味覚などという言葉に、警戒を解く人たちが多いが、現実を忘れてはいけない。
カジノの問題だけではなく、これから政府はどんどん国民を撹乱し、重要なことから目をそらせようとする策略を弄してくるだろう。
今日本で起きていることを他人ごとのように考える人たちが増えている。それがマスコミや新聞では、目も当てられない。
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