前へ!前へ!前へ!
アジア最貧国と言われるバングラデシュ。ここで、税所さんは教育に革命を起こした。絶対に不可能とされてきたBOP層(低所得層)から、超一流大学合格者を輩出し、バングラデシュの教育格差に風穴を開けたのだ。

税所さんがバングラデシュの教育問題に立ち向かうきっかけとなったのは『グラミン銀行を知っていますか』(坪井ひろみ著・東洋経済新報社)という一冊の本との出会いだった。グラミン銀行は、当時総裁であったムハマド・ユヌス氏と共に、貧困層の経済的・社会的基盤の構築に対する貢献を評価され、2006年にノーベル平和賞を受賞した。「大学2年生のころに失恋をしまして(笑)。未熟な男のままではいかん! と思っていました。ボランティア活動などはしていましたが、限界を感じていたころだったので、この本を読んで、僕のやりたいことはこういうことだ! と感銘を受けたんです」。
税所さんは、すぐに行動を起こす。バングラデシュへ赴いてユヌス氏と会い、やがてグラミン銀行グループ内にプロジェクトを立ち上げ、大学を休学してバングラデシュに滞在する。そして現地の村を回る中で、都会の子と村の子の教育格差を目の当たりにした。村の子どもたちは教師不足のために満足な教育を受けられず、大学への進学の道も閉ざされていたのだった。そして、税所さんは自分の受験時代を思い出す。「予備校のDVD授業のようなシステムを使えば、村の子どもたちにも質の高い授業を提供できるのではないか!」。

行動力の男・税所さんは、すぐにグラミン銀行へ「e-Education Project」のプレゼンをした。が、あえなく却下。貧しい村にインターネットを引くことや映像で授業することなど、ありえないと判断されたのだった。それでも税所さんはあきらめず、自力でプロジェクトを実行する。はじめての授業は、村の学校と東京学芸大学の実験室をSkypeで繋ぐものだった。受講した子どもたちは大喜び! この成果はグラミン銀行にも認められ、正式に「e-Education Project」を発足させた。
税所さんは、プロジェクト成功に向けて全力で走り出した。日本で資金援助をしてくれる人を探し、DVDへ出演してくれるバングラデシュの予備校の有名講師を集め、Twitterで呼びかけ村で使用する中古PCを30台ほど集めた。村の子どもたちは、ボロ小屋で中古PCを使用し、超一流予備校の映像授業を無償で受けられるようになった。「電気は切れるし、暑くて汗はダラダラかくし、散々な環境でしたけど、テクノロジーの凄さに感銘を受けました」。そして村からバングラデシュの東大と言われるダッカ大学やその他有名大学への合格者を輩出した。
(早稲田ウイークリーより転載)
もと塾生のお父さんから昨日お借りして一気に読み終えた。内容の凄さを皆さんに伝えたかったので、早稲田ウイークリーの記事をそのまま使わせてもらった。税所君は僕の息子と同い年。ハチャメチャにすごい青年だ。
単独東進ハイスクールの理事のところへ乗り込んで行って、協力を求む行動力もさることながら、自分の意思を最後まで捨てない根性と、情熱には脱帽だ。
貧困の中で、大学を諦めて行く、優秀な原石の子どもたちをなんとか国立の一流大学に入れようと頑張る彼の姿に、涙があふれた。息子と同じ世代の若ものに、塾屋魂を鼓舞された一日だった。
教鞭をとっている若い世代の先生方にぜひ読んで欲しい一冊です。
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