福島県郡山市で小中学生14人が起こした放射能疎開裁判
裁判の通称は「ふくしま集団疎開裁判」という。
原発事故の3か月後の2011年6月、「郡山市内は放射線量が高くて危険」「安全な地域で教育を受ける権利がある」などと、郡山市を相手どったこの裁判は始まった。
注目すべきは、申立人が郡山市在住の小中学生14人(法廷では親が代理人)だったことだ。
原告団の主任弁護士である柳原敏夫さんが言う。
「郡山市の土壌汚染レベルは非常に高い。原発事故があった旧ソ連のチェルノブイリの基準でいえば強制移住が必要とされるレベルです。チェルノブイリでは避難が遅れ、放射能の影響で小児甲状腺がんをはじめとするさまざまな疾病の患者が急増しました。それを考えると、とても子供の生命や健康を守れる場所ではありません」
埼玉県在住の柳原弁護士が裁判にかかわることとなったきっかけは、原発事故直後の2011年4月、文部科学省が子供の年間被曝を20ミリシーベルトまで許容すると発表したことだった(後に年1ミリシーベルトを目指すと修正)。「子供を危険にさらす無責任な措置」と激しく憤った柳原弁護士は、住民支援のため郡山市に向かった。
「従来の国の許容基準は年間1ミリシーベルト未満で、国際基準であるICRP(国際放射線防護委員会)の数値と一緒でした。それを事故後に、いきなり20倍に引き上げたんです。子供は、大人よりも放射能への感受性が4~5倍高いといわれています。途方に暮れる親御さんがいるだろうと現地に向かい、“子供は安全な場所で教育を受ける権利がある。市はそれを守っていない”ということを伝えました」
保護者は、郡山市や教育委員会に疎開措置を期待していたがかなわず、訴訟に至ったのだという。
「といっても、教育を受ける権利があるのは親ではなく子供。そこで、子供たちが原告になりました」(柳原弁護士)
放射能への不安に駆られた地元住民のうち、県外への自主避難の道を選んだ家庭も少なくない。
裁判に臨んだ子供たちは、なぜ自主避難ではなく、“集団疎開”を求めたのか。柳原弁護士が代弁する。
「経済的な事情もありますが、子供たちの気持ちの問題も大きかった。“友達を見捨てて自分だけ逃げるなんて裏切りはできない”という思いです。子供にとって友情はとても大切なもの。でも、放射能も怖いんです。
ある子供は“ぼくは(学校を)絶対離れない。でも、福島には絶対いたくない”と引き裂かれる気持ちを話していました。この矛盾を解決する方法は、集団で避難することしかありません。裁判で求めたのは、あくまで14人の疎開ですが、この裁判に勝つことができれば、福島の子供たち全員の疎開を実現していけると思っています」(柳原弁護士)
郡山市教育委員会に取材すると、「係争中なので裁判についての具体的なコメントは控えたい」との返答。
この裁判の行方については、国内ではほとんど報じられてこなかったが、ドイツや韓国のテレビ局が取材に訪れるほど国際的な注目度は高かった。しかし、福島地裁郡山支部は2011年12月、以下の理由などで子供たちの訴えを却下した。
「小中学校における実際の被曝量の程度を考慮すると、債権者ら(訴えを起こした子供たちのこと)の生命身体に対する切迫した危険性があるとまでは認められない」
地裁の決定に小中学生10人が即時抗告し、現在は宮城県の仙台高裁で控訴審が続いている。
※女性セブン2013年2月7日号
先日痛風のためかかりつけの病院に行ったのだが、待合室で待っている間に、備え付けの週刊誌を読んでいたら上の記事を目にした。
何度もこのブログで書いてきたが、福島の郡山もそして僕が住んでいる岩手の一関市も、震災後の放射能値は、0,25マイクロシーベルトをゆうに超えていた。この値はチェルノブイリ事故が起きた近隣の町や村では、強制的に海外移住をさせられた値である。
しかもそれでも多くの被爆者が出て、その後重大な疾病が多発した。
東電や国のお抱え学者である、自称見識者たちは、あの地域は山のベリーやきのこを主食にする地域だったので、甚大な健康被害が出たのであって、空気線量の値が直接の被曝原因ではないとするコメントを出したが、無責任極まりない発言に、絶句した。
自主避難者の救済が全くなさせれないこの国の対応は、絶対おかしい。莫大な除染費用を使う前に、疎開をさせて欲しいと多くの人達が願っている。
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かねごん先生、PC騒動たいへんでしたね(゚ー゚;
さて、苦しみの中で救済を求めている子どもたちの声に耳を傾けようとしない政府と福島県。その人権侵害をただし、放射能汚染地に閉じ込められた子どもたち全てを、安全な場所に逃がしたいですね。
年間1ミリシーベルト以下の場所で教育を受けるのは当たり前な、基本的人権でしょう。
先日8日、環境省は、福島県以外で行った子どもの甲状腺検査の結果を発表した。6割近い子どもにのう胞やしこりが見つかったことから、4割以上の子どもに同様の症状が見られた福島県について、「他県と同じ」との見方を示した。
とにかく、国としては、福島原発事故が原因の健康被害はないというゴールに向かって展開しているように思えますね。
嚢胞に関しては、つくば市に住んでいて、今は山梨に移住した友人が、お子さん(女のこ)に嚢胞ありと診断されていました。
事故後にできたか、それ以前からあったものかは、判断はつかないらしいですが。
また、長野県松本市長の菅谷さんの講演会でその件について質問したところ、結節(肉のかたまり)については、がん化しやすいが、嚢胞は割とできることもあるので、気を落とさないで、注意深く経過みるよう言われたそうです。
いずれにせよ、福島で甲状腺がんが、23年度分(3万8千114人)、3人確定(それ以外で7人が細胞診で疑いあり、なので限りなく黒)という結果を現実として重く受け止めるべきですね。
今回の甲状腺がんの発生確率は、10人ががんだとした場合、3千800人に一人という、多発していることは言い逃れできない数字です。
国立がんセンターでは、子供における甲状腺がんの発生確率は100万人にせいぜい1〜2人というデータからみても異常な事態であることは、誰から見ても明らかなはずです。
岡山大学の津田教授の話でも、福島県の甲状腺がんが福島事故と因果関係が否定できるデータは存在しないと話しています。
以下岡山大学の津田教授の話のリンクです。(2013/3/8の記事)
http://memogoldentama2.blog.fc2.com/blog-date-20130308.html
山梨に移住しいた友人からの情報で、山梨はやはりこの辺と比べても土壌汚染レベルはかなり低いとのことで、市民発山梨版・土壌汚染マップのリンク貼っておきます。
http://inochimusubiba.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
これから、春休みになる子供達の保養などに役立ててみてください。
(かねごん)
花★花様コメントを頂き有難うございます。
一関市でも甲状腺の疾病が多発しています。食べ物の安全基準が全く安全でないことは周知の通りです。
残念なことですが、東北は日本政府から見捨てられました。
復興支援のお金をばら撒けばとりあえずいいだろうという、日本政府の態度には愛のかけらもありません。
投稿: 茨城県の花★花 | 2013年3月10日 (日) 08時32分
コメント返信有難うございます。
ここ数日は、震災から2年のTV番組が組まれていますが、子供を使った、風評被害をなくそうなど、うんざりする内容ばかりです。
確かに津波や地震での被害で大変な生活を強いられている方には、お見舞い申し上げますが、なんだか、福島原発事故についての、健康被害の報道があまりにも少ないのが引っかかるところ。メディアが本来の責任を果たしていないのです。
PM2.5など他国が原因なものに対しては、メディア総出で叩く有様に、嫌気がさしますね。(発ガン率の上昇でいえば、PM2.5より、福島の甲状腺がん発生率の方がはるかに上ですから。。。)
(かねごん)
全くおっしゃる通りです。
テレビのメディアは、完全な弱腰です。
僕は家のテレビコードを引き抜き、衛生チュナーを粗大ごみに出して、NHKを解約しました。ふざけるな!ですよ。
投稿: 茨城県の花★花 | 2013年3月10日 (日) 13時57分