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2012年11月21日 (水)

水谷隼が吠える

下記の文章は水谷選手の警告の一部転載です。

なぜ、補助剤が使用されるようになってしまったのか?

 卓球を知らない人にはわかりにくいでしょうが、補助剤が登場した経緯を簡単に振り返っておきます。

 2008年の北京五輪までは「スピードグルー」という接着剤を僕を含めたほとんどの選手が使っていました。ラバーをより弾ませるために、この「グルー」を大量に塗り込んでラケットに貼り合わせていたのです。ゴムの分子と溶剤の分子が結合して膨張するのは補助剤と同じですが、グルーは有機溶剤が主成分なので、人体への影響が懸念されていました。

水谷隼 Jun Mizutani

 グルーの使用が禁止されたのは、'07年にグルーを塗っていた日本の選手が意識不明の重体になった事故がきっかけです。日本卓球協会がいちはやくグルーの使用禁止を選手に勧告し、ITTFも北京五輪後にグルーの全面禁止に踏み切りました。同時に、ラバーに接着剤や接着シート以外の付加的な処理、いわゆる「後加工」を禁じることもルールに定めたのです。

 初めてグルーを塗らないラバーで打った時、全然弾まないし、摩擦力も落ちて愕然としたことを覚えています。同じラバーを使っても、感覚がまったく違うんです。いろんなラバーを試し、違和感なく打てるようになるのに2カ月ほどかかりました。

 しかし、グルーと同じ感覚を求めた一部の選手は、新たな方法でラバーを弾ませることを考えました。それが、補助剤です。もちろん、補助剤を塗る行為は「後加工」にあたりますから、補助剤はこの時点で卓球界に存在してはならないものだったのですが……。

考えられないボールの回転や速度、金属を叩くような打球音。

 半年もしないうちに補助剤を使っている選手が何人か現れました。いつ、誰がどこで最初に使ったのかはわかりませんが、'09年4~5月に横浜で世界選手権が開かれたころにはかなり増えていたと思います。

 対戦すると、ITTFに公認されたラバーの性能では考えられないスピードと回転でボールが返ってくるし、金属を叩くような打球音が会場に響くからわかるんです。

 僕たちはミリ単位の繊細な感覚で技術を競っています。補助剤を塗った選手との試合を100m走にたとえれば、スタートラインの10m先に相手のスターティングブロックが設置されているようなものなんです。大事な試合で違法ラバーを使う選手に負けるたび、もし、補助剤がなかったら……と考えないわけにはいきませんでした。(転載終わり)

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卓球はあるレベルに達すると、そこからは道具の勝負になる。極端に言えば、特殊ラバーを使いこなせれば、体力や技術が格上の選手に勝てる競技である。それほどラケットやラバーが進化をしている。

試合でラリーが続くようにと、38ミリのボールが40ミリになった。しかしそのことがますますラバー開発の競争に拍車をかけた。僕が使っているラバーは2000円程度のものだが、中学生や高校生は一枚5000円以上するものを使っている。両面で10000円だ。それを1ヶ月に1回交換させられた日には親も頭が痛い。いや懐が痛い。

そこへ登場したのがスピードグルーだ。ボールの弾みが格段に良くなりドライブがかかりやすくなる。試合ごとにラバーを交換する選手が登場した。

その辺りから卓球は、38ミリのボールと何ら変わらないスピードボールとなった。

禁止をすれば、それをかいくぐって新たな不正や開発が生まれる。卓球のコーチをしていると、選手が使うラバーの特性を把握するだけでもいっぱいいっぱいになる。

一番いいのは3種類ぐらいに統一することだろうが、世界の動向を見るとそれも難しいようだ。

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