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2012年10月30日 (火)

マルチ人間じゃなくていい

僕はいつも思うことだけれど、完璧さを求め過ぎて結局肝心なことを出来ないでしまっているひとがいる。

飯のタネというものは、その人の得意分野が生み出すもの。何でもかんでも手を出して、幅広くやればいいと言うものではない。

僕らは芸能人じゃない。歌を歌い、お笑いをやり、司会をやってなどというマルチ性は無理である。昔からの職人気質的職業観を持ち、迷うこと無く一つの仕事に精を出すことが人生の安定の方程式ではないかと考える。

現代の若者たちはいともたやすく会社を替える。その工場なり会社の仕事が同一のものであれば技術が蓄積して行くものの、全く別の職種の会社に替わっていく。自分の可能性を模索してのことと思うが、転石苔むさずの格言を取り違えているような気がしてならない。

大学入試を眺めてもそうだ。不況ということもあり、親の負担を考え、進学校は国立大学の合格に重きを置き、文系、理系に関係なく5教科の徹底強化を行なっている。本来なら僕のように超私立文系人間にまで、センター試験のための数学や理科を強要している高校が目立つ。

努力が空回りし、国立大どころか得意科目を伸ばせないまま、いわゆる中堅の私大も3流の私大も不合格という生徒が出てくる。

国立大に入れてお金がかからないようにという高校側の親心が、浪人という結果を生じさせ、親や生徒の負担を大きくしてしまっている。

人生に於いて決して努力は無駄にはならない。しかしである。精神を病むほどの勉強や作業を強要してはならない。親や学校の期待に応えるべく頑張る姿は素晴らしい。しかし、完璧を求めてはいけない。ほどほどでいいのだ。

出来ないものは出来ないと、諦める決断も大切なことだと思う。自分の得意分野に精を出すほうが人生も楽しいはずだ。楽しいことは継続も出来る。凡庸に思える技術も継続の力によって、非凡なものに変わっていくだろう。そして人生を生き抜く大きな武器となるはずだ。僕らはマルチ人間じゃなくていい。

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