塾の興亡
今日中学2年生の男子生徒が僕に聞いてきた。
「先生はどうして先生をやっているの」
とてもとても哲学的な質問だ。言葉に詰まった。自分はどうして先生と呼ばれる仕事についたのだろう。
気がついたら先生と呼ばれていた。
もうすぐ10月だ。就職活動をやった30年前を思い出す。5年間のブログの中で確か2度書いた話題だが、希望した職種に就けなかったので、とりあえず塾教師になったら、30年が過ぎていた。
僕は、塾教師は日の当たる職業じゃないと思ってやってきた。そしてその劣等感をパワーにしてきたような気がする。
別に行きたくなければ行かなくていい所、塾。その塾に存在価値を生み出そうと、僕は悪戦苦闘してきた。
忍耐や努力でなんとかなるものなら、塾経営は楽勝だろう。そんなにたやすいもんじゃない。
学校と同じ事をやっていたら、間違いなく廃業だ。かと言って生徒に媚を売っていたら、やはり塾は続かない。
資本があるわけじゃない、専任講師を雇える余裕もない。個人塾の興亡をいやというほど目にしてきた僕は、自分を信じて、自分のできることをやるしかなかった。
僕を救ってくれたのは塾生だった。生徒に恵まれた。
「先生はどうして先生をやっているの」
『君たちが塾に来てくれるからだよ』 僕は心で呟いた。
本当にありがたい。
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