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2012年9月 7日 (金)

ジャズが心にしみる

2,3日前から急に暑さが遠のいた。夕暮れの空が秋色になった。

昨日からキッチンのスピーカーから流れているのは、ビル・エバンスのワルツ・フォー・デビィ。この季節になると無性に聞きたくなるアルバムだ。

僕が生まれた頃の録音だけれど、ピアノの醸し出すメロディーラインが、全く古さを感じない。ビル・エバンスの素晴らしさは、時代を超えた情感の静謐さを聞き手に与えてくれることだ。

ビル・エバンスの名演と言えば、Never Let Me Goもそうだが、哲学的な愛惜とでも言ったらいいだろうか、人生で失って行く大切なものへの静寂な哀悼を僕は感じる。

移ろい行く人生の季節に、ビル・エバンスの醸し出す物語はとても繊細だ。きっと彼を超えるピアノ弾きは2度現れないだろう。

どこにいても、何をしていても、彼のピアノが流れれば、一発でビル・エバンスだと分かる。そんなアーチストはそんなにいるもんじゃない。サックスで言えばジョン・コルトレーンがそうだろうか。

秋になるとジャズがいい。稲穂が頭を垂れた田園風景には、ジャズがよく似合う。僕の23年ものの軽トラックには、ボロ車とは不似合いなCDデッキが搭載されている。これからの通勤時間は思いっきりジャズを堪能したい。

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