孤独な音楽との対話
学生時代に通ったジャズ喫茶があった。ジャズがメインだが、時にロックや渋いブルースが店内に流れることがあって、僕はお世辞にもうまいとは言えないブラックコーヒーを飲みながら、その時々の感情と談合しては、耳に押し寄せてくるメロデイーを心に刻みこむ日々だった。
大学に入ってブルーノートのレーベルを知ったのもこの店だったし、初めてジャクソン・ブラウンのプリテンダーを聴いたのもこの店だった。
大学を終えて岩手に戻ってからは足を運ぶ機会がめっきり減ったが、それでも上京した時は必ず立ち寄る場所である。
昨年の春に15年ぶりに店に立ち寄ったが、学生の頃と全く変わらない佇まいに、僕はいい知れぬ感動と目眩を感じた。
バイトがオフの日は、必ずこの店でジャズを聴いた。30年という月日を振り返って、自分の中で変わったものはそれほどないような気がする。長男は当時の僕の年齢に達した。僕は間違いなく年を取り、肉体が衰えたけれども、本質はなにも変わってはいない。
レコードからCDに変わった音源は、軽いシャカシャカ音を店内に響かせてはいたが、30年前と変わらないUCCの粉コーヒーは相変わらずにがいテーストで、僕の舌をヒリヒリさせてくれた。
店主の好みだろうと思うが、当時はアート・ペッパーやビル・エバンスのレコードが多く流れていた気がする。
19歳の頃から22歳まで通い続けたジャズ喫茶は、まさに僕の青春であり、孤独な音楽との対話としての、修行の場所でもあった。仕事で忙しい長男も、週末にはヒップホップが流れるミュジックバーに通いつめているようだが、やつもまた僕と同じように孤独な音楽との対話をしているのかも知れない。
今年は3・11以降ずっとヘビーな話を書いてきた。いや書かざるを得なかった。僕のブログにお付き合いいただいている方々の中には、ひょっとするともううんざりしている方も多いのではないだろうか。陳謝したい。
お詫びと言ってはなんだが、今夜はこんな曲は如何だろうか。ビル・エバンスでSOME OTHER TIME。
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こんにちは。
あたしはジャズについてブルーノートや詳しい事はわかりませんが、アート・ブレイキーの『モーニン』を聞きながら、カフェオレを飲むのが好きです。
最近では放射能問題で気分が暗くなってしまう事もしばしば…そんな時はいきものがかりの「エール」を聞き、気分転換をします。
考える事も大切ですが、時には一息つくのも必要だと思います。
かねごん先生もいろいろと大変だと思いますが、珈琲たいむしてくださいねo(`▽´)o
(かねごん)
流れ星様コメントを頂きありがとうございます。
アート・ブレイキーの『モーニン』、渋いじゃないですか。僕も好きですね。
今日は久しぶりの休日で、宮城県の長沼の温泉に行ってきました。
また明日から頑張りたいと思います。
投稿: 流れ星☆彡 | 2011年9月23日 (金) 13時12分