小林先生の記事『内部被爆』
友人の小林先生のブログ記事をそのまま引用させていただきました。ぜひ多くの方々に内部被爆について知って欲しいと思います。
《小林先生の記事『内部被爆』の引用》
文部科学省のモニタリング・ポストや自治体が発表している放射線量は、ネットを検索すればすぐに知ることができる。あまり高くない線量なので、なんだそれくらいかと思う。一方で個人的に計測している方から実測値を聞いてみると、場所によって線量がまちまちであるようだ。
これまで放射線量にも線量計にも無縁の生活を送ってきたので、急に放射線の話をされても何のことかと思っていたが、専門家の話を聞いてみると少しずついろいろなことが分かってくる。琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏の話が一番詳細ではないだろうか。衆議院の委員会の参考人として意見を述べているものもあるし、ビデオニュース・ドットコムで神保哲生氏のインタビューに答えている映像(こちら) もあるが、簡略にまとまっていて分かりやすいのは2007年に「核戦争に反対する北海道医師・歯科医師会第19回総会記念講演」で行った「内部被曝 … 原爆・劣化ウラン兵器と人類への宿題」という講演の要約だと思う(こちら) 。
放射線量計を所持している方も増えているようだが、地上1メートルで測るのが正しい計測方法だと言われている。だが、線量計で測れるのは基本的にガンマ線の数値だけだと思った方がいいらしい。矢ヶ崎氏の話によれば、アルファ線やベータ線は飛程(放射線の飛ぶ距離)が短く、線量計には表れないという。アルファ線やベータ線まで測れる機器もあるようだが、個人レベルで使うものではないようだ。
しかも、この線量計で測れるガンマ線の量というのはあくまでも外部被曝の放射線量でしかなく内部被爆の問題がほとんど考慮されないのは問題だ、と矢ヶ崎氏は言う。実は線量計で測れるガンマ線よりも飛程の短いアルファ線やベータ線の方が、内部被曝では深刻な影響を及ぼすという。
どういうことか。たとえば飛程45ミリメートルのアルファ線は、空気中では4.5センチしか放射線が届かない。しかし、その4.5センチの間に全エネルギーを放出すると考えると、アルファ線を発する放射性物質を体内に取り込んだ場合、どれほどの影響がでてくるか想像がつくのではないかということだ。アルファ線は体内では40マイクロメートルしか飛ばないという。40マイクロメートルとは紙一枚の厚さくらいだそうだが、そのくらいの距離を飛ぶ間に全エネルギーを放出し、10万個の電離を行う。つまりアルファ線が細胞の核を突き抜ける場合には、染色体のDNAを10万箇所切断していくということになるのだという。
それにくらべれば、体を突き抜けて飛んでいくガンマ線は飛程が長い分、DNAの切断箇所は少ないようだ。したがってDNAの自己修復機能が働いて元通りの二重らせんとなる。ところがアルファ線のように10万箇所も切断され、それがある期間継続するとDNAの二重らせんが正しく修復されず、まちがった結合の二重らせんができあがる。これがガン細胞を作り出すもとになるというわけだ。
ガンマ線のみを測った放射線量が低いからといって安心できるわけではない。恐れなければならないのは、外部被曝ではなく内部被曝である。空気中を浮遊する放射性物質を吸引しないことが必要だろうが、放射性の塵は花粉などよりはるかに小さいので普通のマスクでは完全に遮断できないそうだが、水に湿らせたガーゼを一枚中に入れるなどの工夫をするといくらか効果があるという。
それ以外にも食品や飲料水を通じて体内に入る放射性物質をできる限り減らすしかないと思われるのだが、市場に流通しているものは一応基準値以下のものだろうと信用するしかない。
アルファ線やベータ線が引き起こす内部被曝の問題が、あまり大きく報道されていないのは何か意図的なものがあるのだろうか。矢ヶ崎氏が関わった広島・長崎の原爆訴訟でも、被爆者の内部被曝の影響が認められるまでは相当の時間がかかったようだ。晩発性のガンなどを引き起こすのは、おそらくこの内部被曝だと思われるが、因果関係が明証できないことを理由に補償などの対象から外されることも十分に考えられる。
10年後、20年後あるいは30年後か40年後にガンにかかっても、内部被曝の影響ですと認めてもらえないかもしれないことを覚悟しておく必要があるのではないか。
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こんばんは、学び舎です。
記事を紹介いただき恐縮です。
ブログのアクセス解析を見てみたら、いつもより訪問者数もアクセス数も格段に増えているので、はてなと思っておりましたが納得しました。
内部被爆の問題がようやく雑誌記事などでも出るようになってきましたが、放射線量が下がったから大丈夫ではないのかと思っている方がまだ多いのではないでしょうか。それで矢ヶ崎先生の話が参考になるのではないかと記事にしてみました。
(かねごん)
小林先生の非常に分かりやすい内部被曝の説明文に、思わず勝手に記事を使わせていただきました。
先生の放射能に関する多くの記事が、地域の人々の啓蒙になっているはずです。頑張ってください。(僕も頑張ります)。
投稿: 学び舎主人 | 2011年6月20日 (月) 23時52分