日本という国を皆んなで耕そう
仕事に復帰し1週間が過ぎた。塾の教室を見回してみると、時計と鏡が新しくなり、幾つかの置物が消えたことを除いては、風景にそれほどの違いはない。
この教室から車でわずか40分で行った沿岸で、歴史的な惨劇が起こったことを誰が想像できるだろうか。
子どもたちに教科指導をしている時間、いつものように海辺には夕暮れが訪れ、今日も漆喰の闇が訪れる。白木の棺に納められた声なき人々の慟哭が、海の波音に消され、命ある人々の悲しみは、また枕を濡らす涙となり、一日が過ぎていく。
テレビに映し出された風景は、かつて僕が親しんだ三陸の風景ではなく、巨大爆弾によって一瞬に吹き飛ばされた戦場の光景のようだった。いったい何処の国の惨事をテレビは映しだしているんだろう。震災後初めてその光景を目にしたときに、それが隣町での起きた出来事であることを認識するまで、僕の思考は撹乱していた。
市内でガソリンを求めて並ぶ数キロの車の列や、上空を行き交う自衛隊機ヘリの爆音、そして何もなくなった食品店の棚を見ても、震災が起きたという実感がわかなかったのは、これが夢であって欲しいとせつに願う、僕の魂の希求だったのかも知れない。
多くの人々がうつむいている。多くの人々が希望を失っている。彼ら彼女らに頑張れという言葉はもはや残酷だろう。そっと肩を抱きしめてあげるだけでいい。辛いだろうとそばで一緒に涙するだけでいい。
ヘミングウェイの小説ではないが、また陽は昇る。必ず昇る。いつか元気になったなら、鍬を手にし土を耕せばいい。そして種を蒔けばいい。収穫は来年になるかもしれない。いや、3年後になるかも知れない。それでもいい。元気が出たら鍬を持って土を耕せばいい。
日本という国を皆んなで耕そう。
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