バーチャル的感覚
マトリックスという映画をご覧になった方は多いと思うが、僕はあの映画を観た時に強烈な印象を受けた。印象という曖昧な表現をしたが、日頃自分が感じていた人生のバーチャル的感覚思考を暴露されたような、そんな感覚だった。
いつの頃だったかはっきりとはしないのだけれど、少年時代のある時期から、今僕が住んでいる世界は、自分かもしくは誰かが作り出した架空の世界ではないだろうかとふと考えることがあった。
中学の理科の時間に、物質をマクロ的に見ていくと全てが原子と分子にたどり着き、実は物体という実体が存在しないことを学んで以来、マトリックス的な感覚が僕の中で増殖した。
仮に人間の思考がエネルギーだとするならば、錯綜する地球上の70億人近くの人間の思考エネルギーは、想像をはるかに超えるパワーであり、神のごとく様々な現実を作って行くのではないか、そんな妄想を持った。きっと少年時代にSF小説を読み過ぎた後遺症だと思うのだが(・・笑い)、熱病にうなされるごとく僕は、人間のいや世の中の不思議さに引きこまれて行った。
例えばDNAにしてもそうである。DNAという遺伝子はデオキシリボ核酸の略で、糖と塩基とリン酸が結びついたヌクレオチドという物質で出来ている。
高校の生物で習ったと思うが、このヌクレオチドはアデニン、チミン、グアニン、シトシンの四種類があり、きれいな螺旋を形作っている。そして人間のこのDNAはたった1.5パーセントだけが発動しているだけで、そのほとんどが眠ったままである。
高校の生物の授業で目にしたDNAの模型を今でも鮮明に覚えているが、DNAの螺旋はまるで宇宙の進化を駆け上がる生物の進化モデルのようであった。
いつの日かヌクレオチドの物質の10%も使えるようになれば、人間は間違いなく神のような創造力を発揮するのではないだろうかと、春の木漏れ日の中、そんなことを妄想していた。
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