塾事情今昔物語
塾には二種類ある。資金力を活かし駅前やメインストリー卜の目立つビルディングに教室を構える大手塾と、裏通りの目立たない安アパートを借りてひっそりと営む個人塾である。我が塾は間違いなく後者である。
僕の塾は20年前、ガレージを改造したわずか9坪の小さな塾からスタートした。トイレもなく10メートル離れた大家さんのトイレを借りていた。雨の日や雪の日は子どもたちに大変不便をかけた。僕などは指導の気分転換に近くの公園の公衆トイレまで行っていた。
そんな状況が14年間続いた。天井から雨漏りがし、床が危険な状態になり、6年前大家さんの厚意により現在の教室に建て替えた。大験セミナーなどというだいそれた名前を冠しているが、相変わらず小さな個人塾には変わりがない。
今月は5名ほどの中3生が体験入学に来てくれた。その内3名が夏期講習を受けてもらうことになったが、他の2名は市内の大手塾に入ったらしいと、ご丁寧にも塾生が教えてくれた。勝率で言うと6割である。1年を通じて、だいたい体験入学に来てくれる生徒の4割が残念ながら他の塾に行く。その行き先はいずれもメインストリートでネオン輝く大手塾である。
僕もかつて東京の大手塾に勤めていたことがあるので、広告の物流による市場拡大と、内部生を宣伝戦略に利用する手の内は、いろんな意味でずいぶんと学ばさせて頂いた。
塾の激戦区ではありとあらゆる手段が生き残りをかけて講じられた。経営倫理など崩壊していたと言っても過言ではなかった。時はバブル前夜であった。友人を一人連れてきたら5千円。他の塾から引っ張ってきたら1万円。現金が飛び交っていた。
子どもたちはお金欲しさに勉強そっちのけで、友達の勧誘に奔走する。何でもありの大手塾のやり方に嫌気がさした僕は、2年足らずで辞表を出していた。
岩手に戻った僕は一関の風景にほっとした。ビルに入っている大手の塾などなかったし、アパートや古い民家を間借りしている個人塾が4,5件点在していただけだった。1980年初頭の話である。
そして現在当時より生徒の数が半減したにもかかわらず、塾の数は20件にものぼる。その内フランチャイズの大手塾や予備校が5件ほど、メインストリートに軒を並べている。
昔と違って人間関係が希薄になってきた現在、中高生が友達に声をかけて塾に連れてくるケースはめっきり減ってきた。それどころか塾に通っていることをひた隠しにする生徒の方が多い。親御さんもそうである。
そんな中にあって、生徒を紹介して頂く塾生の保護者の方や、卒塾生のご父兄の皆様には本当に心より感謝申し上げたい。自分の子どもの受験が終われば、塾などというものは親御さんの意識から遠のくのが自然である。それをご紹介頂くとは本当に嬉しい限りである。
僕の塾は今年もそんな方々に支えられ、何とか軌道に乗りそうである。本当に感謝でいっぱいである。
夏期講習のご案内⇒こちらをクリックhttp://daiken.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-2123.html
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こんにちは。暑い毎日が続きますね。
人間関係が希薄化している中で、卒塾生の親御さんが新しい生徒を紹介してくれるというのは、本当にありがたいことだと思います。
こちらも新年度当初こそ例年より少しいいかなと思う程度でしたが、その後の入塾者数が伸びず苦戦しております。
ですが、同じように口コミによる評価を第一に考えて指導を続けていこうと思っています。人間関係が希薄化している時代だからこそ、逆に「どこでも同じ」「ここがだめなら他の塾」的な選択をされない、関係性に立脚した仕事ができないか模索中です。
(かねごん)
小林先生コメントをありがとうございます。
口コミ第一主義を貫いてきましたが、正直不安なことも多々あります。
子どもたちとの信頼関係が一番だと思いますが、そのためには純真無垢な感性を取り戻す努力が必要なんでしょうね。
投稿: 学び舎主人 | 2010年7月26日 (月) 12時15分
かねごん先生こんばんは。
私も(完全に子どもに向き合っての)
16時間労働の季節がやって参りました。
入試対策&イベントで大忙しです。
昨年度中3が抜けることで、塾運営はどうなる
ことかと思っていたら、年度がわりでへこみなく
補充できて、この夏で4年ぶりに塾生数グラフに
とんがりが出来て、4月比較で50%増を達成
しました。ちなみに夏のチラシは打ってません。
とよ爺先生の旭校で得たヒントをそのまま実践
したら、そういう結果になりました。
GW遠征は良い勉強になったと今、噛みしめて
います。
(かねごん)
美川先生おはようございます。
僕のところも中3の出だしが絶不調だったのですが、暑さと共に回復してきました。
不況にあえぐ田舎町に甲子園出場というビックニュースが飛び込んできました。嬉しいです。
美川先生も大変なスケジュールのようですが、体調に気をつけ頑張ってください。
投稿: 美川 | 2010年7月27日 (火) 00時23分