見えない力
我が家の裏庭なのだが、一番奥にお宮が祀られている。この庭は言わば僕の家の聖域である。
この庭は20年前までは多くの雑木が茂り、クマ笹が生い茂っていた。父や母は仕事に追われ、この裏庭までは手が行き届かなかった。僕が家に戻り、家内や息子たちの手を借りながら、今日の、自分で言うのもなんだが、清々しい神域に変えた。
自営業をしていると、自分の能力がすべてである。時に神頼みにすがりたくなる局面というものが多々訪れる。実はこの裏庭を現在のようにきれいしたのには、ちょっとしたストーリーがある。
15年前ほどになるのだが、家の屋根のペンキがはげたので、たまたま近くの家のペンキを塗っていた塗装業者さんに頼んだ。偶然にも高校の時の同級生であった。そのお父さんが社長さんだったが、裏庭を見て、「野暮ったいことを言うようだが、裏庭のお宮の回りきれいにした方がいいよ」と忠告してくれた。
その当時僕は塾の仕事に行き詰っていた。高校生や一般を対象にした英語塾を営んでいたが、大手の英会話学校が一関駅前に進出してきて、生徒が流れて行った。もがき苦しんでいた。
僕はその社長さんに言われた通り、翌日から朽ち果てていた物置小屋を解体し始め、雑木を伐採し、少しづつ庭を整備していった。
しばらくすると、英語塾なのに僕に数学や理科を習いたいと言う中学生が集まるようになった。その前に務めていた塾では数学や国語も担当していた。その前の東京の進学塾では社会科がメインだった。英語塾の看板を外し、普通の進学塾に僕は塾を変えた。ためらいはなかった。
そして現在は、自宅で家内がシュタイナー教育をベースにした幼児教育『風と虹の教室』をやっている。裏庭の木陰は夏には絶好の遊び場になる。家内は杉木立の間にハンモックを吊るすことを計画しているようだが、また間違いなく僕がかり出されるのだろうと思う。
塗装業を営んでいる方は、いろんな商売をしている自宅に行く。先程の社長さんが僕にこんな話をしてくれた。
「家の北側は鬼門と言って、魔が入りやすいんだよ。だから昔の人は北の裏庭にお宮を建てたんだ。しかし残念ながら見えない場所なもんだから、手入れをしない家が多い。でもね、商売がうまく行っている家は絶対見えない北面をきれいにしてるんだよ。」
皆さんの家はどうでしょうか。
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