月謝袋にこだわる理由
1年半前ほどに塾生の月謝滞納について書いたときに、幾人かの先生方より、僕と同じように滞納の実情に苦慮しているお話を頂いた。
不況の中、教育費を捻出することが困難な家庭が増えている。しかし経済的に大変であっても、娘や息子の受験が大変だとなれば、塾通いをさせたいと思うのが親心である。僕は1年半前のブログの記事をきっかけに、月謝というものについて生徒達と話したことがあった。
「月謝袋を頻繁になくしたり、期日までに持ってこない塾生が多いが、安い月謝だからいつでもいいやと思っているのなら、考えを変えて欲しい。僕はこの月謝の金額を維持するために、全身全霊で努力している。」
「お金が大変でも、勉強に意欲のある子どもたちが学べる機会があればとの思いで、僕は頑張っている。シャレのつもりで20年ものの軽トラックに乗り続けている訳でもないし、趣味で農業をやっているわけでもない。いろんな教材屋さんから送られてくるサンプルテキストを、必死に活用しているのは、単なるケチケチオヤジを演じているのではなく、企業努力をしているのだ。」
「君たちの月謝が遅れれば、この塾で働いてもらっている先生の給料が払えないし、借りているこの教室の家賃も払えない。僕らが教えて君たちから戴いている5000円なり7000円なりの月謝によって、みんなの生活が成りたっていることを忘れないで欲しい。」
確かそんな事をしゃべったような気がする。
それ以来月謝の滞納はあきらかに激減した。月謝を払わないまま塾をやめる生徒もいなくなった。授業のない日でも、期日に遅れそうになると、わざわざ月謝を持ってきて頂く保護者の方もいる。感謝である。
ところで僕の塾は、銀行の通帳の引き落としによる月謝の納入はしていない。市内の塾でも月謝袋を利用する学習塾は少なくなってきている。
実は僕には、月謝袋による集金にこだわる理由がある。子どもたちが親からお金をもらい、塾に持ってくることで、親への感謝とそしてお金に対するありがたさを学んで欲しいのである。
今は学校の給食費も学級費も、何でも銀行の引き落としである。親が汗水を流し、一生懸命働いたお金を、月に一度の月謝袋のやり取りという些細な経済活動ではあるけれども、親の恩や、お金の大切さを実感してもらいたいと思っている。
たかが月謝袋一枚にも、多くの人達の思いが染み込んでいることを、子どもたちには忘れないで欲しい。
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かねごん先生
こんにちは。
先ほど家内が先生のこの記事を読んで
「お父さんと同じことを岩手の先生が書いてみえる」って。
実は私も上野塾立ち上げの1年目は
月謝袋で授業料を納めていただいていました。
先生と同じ、お金のありがたみを感じて欲しかったのです。
お父さん・お母さんからこの袋を預かって、
提出していただく工程に重きを置きたかったのです。
しかし現金回収はおつりが発生したり
なかなか期日までに揃わなかったりしました。
そこで要らぬエネルギーを使いました。
お金に纏わるトラブルは一度もありませんが
まだ授業料を提出していない塾生が登塾すると
『今日は持ってきてくれているんだろうか』って
思う自分がいやになりました。
振替システムを2年目から行っていますが
そう言った気持ちを持たなくても良くなったことが
収穫です。
上野のひとり言でした。
(かねごん)
上野先生コメントを頂きありがとうございます。
振替システムの方が確かに便利ですよね。
実は一昨日、5年分ほどの月謝袋を印刷屋さんに頼んだところでして、しばらく月謝袋の日々が続きます。
投稿: 上野義行 | 2010年2月14日 (日) 11時08分