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2010年1月11日 (月)

一握の砂

24年も前のことだが、僕は石川啄木の家族が眠る函館の立待岬を訪れたことがある。5月だったが津軽海峡から吹き上げる風は冷たく、潮風がやけに寂しく感じられた。

啄木の歌集を初めて手にしたのは中学1年の時だった。センチメンタルでそしてどことなくすねていて、やんちゃな感情と成熟した二面性を持った不思議な大人として中学生だった僕は啄木を感じたものだった。

石川啄木の歌集では「一握の砂」が一番心を動かされた。岩手の風土を懐かしく思いつつも、どこかで田舎者であることを毛嫌いし、都会派を装うとする啄木の気持ちは、岩手に住んでいる僕には痛いほどわかる。女性と酒を愛し、時に家族をないがしろにした啄木であったが、彼の短い人生は本当に文学と詩を愛した人生であったと思う。

研ぎ澄まされた言葉の感性は、時に両刃の剣となって彼の精神を追い詰めたこともあっただろうと思う。20代になって次々と歌壇に作品を発表した啄木は、後に天才歌人と称されるが、実は何度も推敲を重ね、緻密な構成を模索する努力家であった。

文語体を意図的に用いることで、風景の静寂さを醸し出し、激情的な心情をストイックに表現する彼の歌は、その静けさとは裏腹に、作者の持つ強烈なエネルギーを読み手に放射する。

宮沢賢治の詩が重厚なバロック音楽ならば、啄木の歌はリズムand ブルースだ。時代を超え世代を超え、愛され続ける啄木の歌は、現代人が持つ刹那的な感情と共鳴し、新たなる時代を構築して行く。

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