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2009年11月 5日 (木)

最近僕は本を読まなくなった

先生と呼ばれる人間が一番やる失敗は、面倒くさくなると自分の価値観や自分の知識レベルで生徒を掌握し、これが自分の教えるスタイルなんだとうそぶいて、新しい技術を身につけようとしないことである。

これはベテランと言われる先生に多い現象である。個性と頑固さを履き違え、人の意見を聞くふりはするが、決して取り入れず、独断と偏見の亡者になってしまう。

ここまで書いてきてふと気づいたことがある。自分にもその傾向が多分にある。そうならないようにどうしたらいいのか。いろんなことをやってみることだと思う。

学校の先生も、塾や予備校の先生も、大学の先生も、専門以外のことをやってみるといい。落語や楽器や、スポーツや絵画、なにかチャレンジしてみることで、見えてくるものや気づくことが一杯あるのではないだろうか。机上の学問にだけ耽溺しているとろくなことはない。

ストレス、不安、妄想、腰痛、挙句のはてには鬱状態になって、生きる希望までも失いかねない。

自慢してもしょうがないが、最近僕は本を読まなくなった。とても気持ちいい。新人作家はさっぱり分からないし、直木賞などの受賞作品もまったく読まなくなった。

喫茶店に本を持ち込まないし、職場でも読まない。じゃ僕は何をやっているのか、実は人を観察している。40年間本を読み続けてきた。教師がこんなことを言っちゃいけないかもしれないが、本に飽きてしまった。作り話はもう結構という感じである。

世の中のスピード感が、架空の物語などより圧倒的に面白い。自分の価値観や読書体験では掌握できない事象が増えている。そんなおもろい世の中をじっくり観察しないのは人生の損失のような気がしてしょうがない。

本を読んで得た感性なり知識を何かに役立てようと思ったことはない。好きだから本を読んできた。音楽も好きだからジャズやポップスを聴いてきた。スポーツも面白いからやっている。塾教師も楽しいからやっている。

本を読むことより、最近は人の話を聞いたり、人間を観察することのほうが楽しくなってきた。わけの分からない哲学や教育書より、生身の人間が面白い。実に面白い。

いろんな人間がいる。学ばせてもらっている。それは生徒も含めてである。ゆえに指導も飽きない。刺激的な毎日である。自慢するわけではないが、僕は子どもたちの話や会話に自然に溶け込んでいける特技がある。子どもたちのもたらしてくれる情報は宝の山である。

子どもたちの声を聞いて欲しい。先生という壁のバリアを後生大事に守っていては、いくら本を読んでも、いくら会議をしても、真の知識は入ってこない。

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