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2009年11月22日 (日)

続・塾教師という職業

塾という所は親の立場から見れば、学校よりも個人的に面倒を見てくれる懇切丁寧な所というイメージがあって、ゆえにお子さんを預けてくれているのだと僕は思っている。従ってそういった期待を裏切らないことが塾の存続を支える最低限のマナーではないだろうか。

僕の塾に限って言えば、塾にはもう一つの顔がある。それは親御さんや子どもたちのストレス解消としての場であるというスタンスである。世の中に対する不満や不安をぶつける場でもある。

かつて僕が塾教師を始めた27年前の東京の私塾の社会的ポジションが、ちょうど現在の岩手の状況に近い。2年前のブログでも一度したためたのであるが、僕が大学を終え勤めた進学塾の校長は30才の若い先生だったが、当時世田谷の公立小学校や中学校の入学式や卒業式に来賓として招かれていた。その頃の岩手では決して考えられないことであった。

岩手県南の塾に勤めていた頃、冬期講習のために公民館を借りに行ったところ、行政サイドから塾というだけで貸してもらえなかったことがある。僕は数年前から公立の小学校などに講師として招かれているが、27年前の岩手に於いては絶対ありえないことだった。

塾教師という職がようやく地方に於いて認知されてきたということで、我々の業界の仕事が安定してきたかと言えば、まったくNOである。

27年前、岩手県南地区には塾がほんの数軒しかなかった。そして間違いなく子どもたちは今の倍はいた。塾に対する風当たりは強かったが、塾経営者は高級車を乗り回し、ゴルフをやり、テレビコマーシャルを入れるなど、世の中の評価とは裏腹に塾経営で成功し、財をなす先生方が多かった。今では考えられない。

今は職業としてある程度の評価を受けるようになったが、反比例するかのごとく塾だけでは食えなくなってきた。乱立である。個人塾が増えたのではない。全国展開するフランチャイズ塾が地方に押し寄せてきた。

我が一関市は統合したとは言え、10万ちょっとの田舎町である。市内の中学校は10校あまり、3000人ほどいるが、塾通いはその内の500人ほど。中学生をメインとする20軒ほどの塾がその生徒を取り合う形になる。平均25名の生徒として、田舎の安い月謝では到底生計が成り立たない。それが現状である。

成り立たせるためには、やはり70名から100名の生徒数が必要となる。そうすると弱肉強食の理論が生まれ、廃業に追い込まれる塾が出てくる。それは個人塾であろうが、大手フランチャイズの塾であろうが関係ない。それが毎年繰り返されるのである。

市内で20年以上続いている塾はわずか5軒である。その内4軒が個人塾である。僕はご父兄や子どもたちのニーズが、大手フランチャイズのマニュアル的指導に傾かないこの町の選択を誇りに思っている。そして励みとしている。頑張って行きたい。

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コメント

こんにちは、学び舎です。
個人塾が残っていると聞いて心強いです。小さいところが必ずしも弱いとは限りません。柔よく剛を制す。小兵が巨漢を倒すこともよくあります。

私も長く残っていけるよう、がんばりたいと思います。


(かねごん)
小林先生コメントを頂きありがとうございます。
個人塾だからこそできるサービスがありますよね。個人塾だからできるご父兄との付き合い方もありますよね。僕らはそうやってなんとか生き延びて行かなくちゃいけないですよね。お互い頑張りましょう。
追伸
ルイス先生に、水沢で小林先生を交えて忘年会をしませんかとお誘いしたところ、ぜひご一緒したいとのことでした。飲みましょう!

今回の内容、とても共感しましたし、勇気をいただきました。私も個人塾にしかできないことを懇切にやっていこうと思っています。
20年以上続いている塾、うちの塾もそうなるよう、日々頑張っていきたいです。いい記事をありがとうございました。


(かねごん)
terakoya先生コメントを頂きありがとうございます。
個人塾の強みを最大限にいかし強烈な個性を放っているterakoya先生の塾は本当に勉強になります。合宿しかり、塾ショップしかり、僕こそいつも学ばせてもらっています。

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