生き残りをかけ
生き残りをかけ、タブーとされていた月謝の引き下げなどで生徒集めに奔走する学習塾も出始めた。
東京都や神奈川県を中心に学習塾を展開する城南進学研究社は、公立中学生を対象に一定期間内に成績が上がらなければ、その後、3カ月程度の授業料を無料にする制度を昨年11月に導入した。1科目週2回の月謝3万1600円が無料になる計算で、この制度の導入で入学者は急増しているという。
総務省の小売物価統計調査によると、平成20年の学習塾の月謝(中学2年生、東京都区部)は2万150円と直近のピークだった11年の2万1640円に比べて7%値下がりした。
だが、思い切って値下げしても生徒が集まらなければ経営は圧迫され、自らの首を絞めるだけだ。みずほ証券の渡辺英克シニアアナリストは「景気が悪化しても受験は急にやめられない。受験生の減少で学習塾の経営が厳しくなるのは今期以降になる」と学習塾の合従連衡はこれから本格化すると予測する。
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中小の学習塾は少子化で生徒集めに苦労しており、M&Aの流れにも取り残されて淘(とう)汰(た)の波が押し寄せている。民間調査会社の東京商工リサーチによると、20年度の学習塾の倒産件数は28件と前年度から3割以上も増加した。
中学受験に詳しい森上教育研究所(森上(もりがみ)展安(のぶやす)所長)の調べでは、東京都と神奈川県の入試解禁日で試験日が最も集中する2月1日をみると、今年の受験率は前年比で減少に転じた。マイナスを記録したのは十数年ぶりだ。
森上所長は「受験ビジネスが今の規模を維持するのは難しい。学習塾の成長戦略はM&A以外になくなっている」と指摘している。 MNS 産経ニュース
りんご先生http://d.hatena.ne.jp/ringojuku/も同じニュースソースを紹介していたが僕も使わせていただいた。
月謝のダンピングや春期や夏期講習を無料にし、内部生を取り込もうという動きが地方でも仙台を中心に近年始まっている。月謝の値下げのしわ寄せがどこに行っているかとかというと、講師の時間給であったり、処々の手当てが削減されている。
優秀な講師が離れていくという悪循環が生じ、窮地に追いやられる塾は多い。実は僕の塾は月謝が安い。市内でも有名なくらい安い。家内制手工業だからできるウラワザである。
最近は職が決まらない高専の5年生になる息子にも、週2回ほど時間にして4時間ほどだがアシスタントティチャーを頼んでいる。理系のはずなのに、高校生から絶対値の不等式を聞かれてたじたじになっていたが、就職試験が受からないのもうなずける状況なわけで困ったものである。
さて話を戻そう。最近は大手有名塾の統合再編が相次いでいる。少子化に伴い子どもたちの絶対数が少なくなってきた今、利益率を追及する大手企業はあの手この手の秘策を講じている。
僕は塾業界の実情と病院経営の実情が非常に似通っていると考えている。総合病院や県立国立病院のドクターが、激務に耐えられず独立し入院患者を持たないクリニックを開業するケースが増えている。個人病院の先生方は往診もしなければ、入院患者もとらない。自分で手に負えない患者はすぐ紹介状を書き、総合病院に委ねてしまう。楽である。
これを大手塾を抜け出してきた塾教師がやってしまうと、大変なことになる。昔であれば○○予備校の講師をしていましたと言うだけでひょっとしたら生徒を集められたかも知れないが、現状はそんなに甘くない。優秀な生徒には誰でも教えることが出来る。レベル分け授業に慣れている大手の先生が、偏差値30から60までの生徒に即対応できるとは限らないのである。
病院ならばあの病院に行きなさいねと言えるだろうけれど、塾ではそれも出来ないであろう。病院との違いはそこである。重症患者こそ個人塾が見なければならないのである。うちは進学塾だから進学校を受験するする生徒だけを面倒見ますという塾もかつては多くあったが、ことごとく消えていった。
文頭で僕の塾は市内で一番安いと書いたが、一番安いコースの生徒でも中1から中3の受験まで通っていただくと、教材費、光熱費、季節ごとの特別講習代すべてで、35万ほどがかかる。僕は決して安いとは考えていない。だから一生懸命教えている。
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