その言葉に耳を疑った
数年前に中学校のクラスメートが亡くなった。中学生と小学生の息子を残し他界した彼は、さぞ無念だったろうと思う。
通夜の後、クラスメートが15名ほど居酒屋に集まって供養酒を飲むことになった。重い空気の中にも、それぞれの近況報告が交わされ、酒が入り声のトーンも高くなっていった。
僕と小学校から高校までずっと同じ同級生のS君が来ていた。残念ながら縁遠く、いまだ独身であるが、手広く農業を営み大地に根をはった生活をしている。S君は当時には珍しく中学、高校と不登校であった。300人弱の学年で2,3人学校に来ない同級生がいたが、彼はその一人だった。
クラス委員長だった僕は担任の先生に頼まれ、何度か電話をしたり、直接自宅に行ったりもしたが、だめだった。高校も半年続かず中退した。
そのS君に、公務員をやっているK氏が声をかけた。しかし僕はそのK氏の言葉に耳を疑った。
「おまえ、学校も来なかったのによく自殺もしないで生きてきたな」
一瞬S君の顔がこわばったが、そこは40を過ぎた大人である。「ここに居るってことは死んでないってことだな」と軽く受け流したが、そのK氏の発言はいくら酒の席とは言え、許されるものではなかった。
僕はK氏がしている舶来ものの高級腕時計を指差し、「やあ公務員、羽振りがいいね。その時計50万ぐらい、それとも100万くらいか」とK氏に対し、ジャブを放ってみた。「そんなに高くないよ20万ぐらいかな」とさりげなく答えてきた。
僕は供養のつもりで飲んでいた酒がこれ以上まずくなってはいけないと、失礼して一人店を辞した。
40歳を過ぎたら、言っていけないことの区別ぐらいつきそうなものである。帰り道、あんな暴言を吐くやつの給料が、僕らの支払っている税金で払われていると思ったら無性に腹立たしくなってきた。
20万円か・・・・。そう言えば生徒が集まらなかった年、経費を差し引いたら、税務署に提出する申告書の収入蘭の金額が、年収20万にも満たない年があった。それでも何とか工面をして、固定資産税を払ったし、自動車税も払ったし、健康保険税も払った。
日本という国は、いつから共産圏の国になったんだろう・・・・・・・。
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