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2009年8月 4日 (火)

親としてのポジション

先日市内で家業を継いでいる卒塾生のKくんが塾に立ち寄ってくれた。多くの従業員を抱える彼は、会社運営や、ちょっとトラブッている家庭の事情などをさりげなく打ち明けてくれたのだが、Kくんは父親になって自分が変わったと話してくれた。

もちろん会社で責任ある立場にいる人間なので、変わらざるを得ないのだろうけれど、僕から見ても確かに変わった。

幼い頃に父親を早く亡くし、いろいろな苦労をしてきた彼である。東京の大学を終えた後、家業を継ぐべくイギリスに留学し、修行もしてきた。高校大学時代ラガーマンとして鍛えた身体は、今も健在で見るからに逞しい。

「や~僕も先生と同じで頭髪がやばくなってきましたよ」などと目を細めてしゃべる癖は、塾に通ってきていた高校時代と変わらない。

「俺が塾に入った時、先生の息子さんとてもちっちゃくて、チョコチョコ歩き回っていたけれど、俺の娘がちょうどそれくらいになりましたよ」とKくん。

「息子も来春学校を卒業で、今は就職活動でいまだ陽の目を見ず、悪戦苦闘しているよ」と僕が言うと。「え~もうそんな年になりましたか。俺も年を取るわけだ」とKくんは目をパチクリしていた。

我が塾の社長であり、風と虹の教室http://kazetoniji.cocolog-nifty.com/の代表である僕の家内に、奥州市や市内の子育て支援センターなどから幾つかの講演の依頼が来ている。その内の一つは家内のスケジュールの都合で僕が代わりに行くことになりそうなのだが、僕は正直戸惑っている。

塾の生徒の指導は僕なりにがんばってきたつもりだ。死にたいと言ってきた生徒の自殺を食い止めたこともある。どうしようもなく荒れていた生徒を更生させたこともある。塾生が東大や早慶にも入った。しかし僕は現時点では、自分の息子達の教育に関して完全に失敗している。ゆえに子育ての失敗談ならいくらでも言えるが、成功例は今のところ言えない。

僕は2人の息子の父親になって、人並みに愛情を注いできたつもりである。しかしまったく言い訳にしかならないが、息子の教育に関しては、塾家業が忙しく(いや、忙しいふりをして)放任してきた。結果大変なことになっている。

でも息子たちから教わっていることも多い。僕は、子どもが勉強しないで困っている、いや苦悩している親御さんの気持ちが手に取るように分かる塾教師だと自負している。だから息子たちに感謝している。ちょっと複雑な感謝ではあるが・・・・・・。

そんなことを卒塾生のKくんと話をしながら考えていた。

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