歴史の教科書がおかしい
僕は28年前に社会科の教師として塾デビューして以来、ずっと中学生に社会を教えてきた。15年前から生意気にも中学生は全教科を指導しているが、教えて一番面白いのが社会科である。
近年中学校の歴史の教科書がおかしくなっている。日本の近世で活躍してきた歴史上の人物が紹介されていないどころか、名前すら載っていない教科書が増えてきた。ゆとり教育による削除と言う前に、由々しき問題が錯綜している気がしている。
市内で使われている東京書籍の歴史の教科書では、江戸の単元で新井白石の名前が出てこない。おまけに幕末に無血の江戸開城をやってのけた勝海舟の名前さえも記載されていない。西郷隆盛が教えられているのになぜに勝海舟が教えられないのか。
僕は思うに「だって教科書に載ってないもん知らない」という子どもたちの態度には、教科書もさることながら、社会科教師の責任も多々あると思っている。教科書に載っていなくとも歴史上の流れで欠かせない人物というものはいる。
例えば応仁の乱を教えるさいに、足利義政の妻である日野富子の存在は欠かせない、女の情念とでも言うものが、戦国の世を生んだきっかけだった気がしないでもない。富子に子ども義尚が生まれていなかったならば、間違いなく戦国の世は違った展開をしていただろうと思う。そんな話をすると中学生たちは実に印象深く応仁の乱を記憶に留めてくれる。
それにしても我々が中学校時代に学んだ政治改革の立役者たちが、教科書から消えてしまっているのは、国の国策ではないかと疑いたくなる状況である。教科書検定のきな臭さがぷんぷんと匂ってくる。
僕はある意味過激な塾教師なので、教科書など関係なく歴史の裏話を生徒に暴露するのだが、支配者の目線で語られる歴史ほどつまらないものはない。
今回の選挙で民主党が政権をとることになったが、庶民の目線で、弱者の目線で政治を断行していってもらいたい。
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