流転
少年の頃、平べったい石を拾いあげては川に石を投げて遊んでいた。水をジャンプする石は、まるで僕の心を表現するかのように時に軽やかにはずみ、時に重く沈んでいく。
息子が幼稚園にあがった夏、僕は彼の前で石を飛ばして見せた。数え切れないほどの石のジャンプに彼は目をまん丸にして、石の魔術を眺めていた。息子が父親である僕を尊敬した最初の一日ではなかっただろうか。
石一個で尊敬をされる父親。なんてドラマチックなんだろう。そんな芸当ができたのも、父親としてまだ初々しかった僕だから、出来たマジックだったような気がする。
その後、カブトムシを捕まえてあげた時も、オニヤンマを捕まえてあげた時も、彼はあの石投げを見せた時のような驚きを僕に示さなかった。
そう言えば、子どもの頃僕が投げたあの石は、今はどのあたりにたどり着いているだろうか。支流の川を流れ、本流の北上川を下り、太平洋までたどり着いただろうか。それとも川べりの木の根っこにさえぎられ、まだその辺りに息を殺しているのだろうか。
道路に横たわる石ころにも様々な流転がある。僕が手にした石は、何十万年もの生成の歴史をたどり、川面をジャンプした。
時の流れとはなんと不思議なことだろうか。
今日川原で、子どもたちが石投げをしていた。また新たな流転が始まる。
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