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2009年6月 6日 (土)

17年間の悲劇

45歳の時に殺人の容疑で逮捕され無期懲役の刑に服していた菅家さんが、17年後の昨日釈放された。62歳の菅家さんは修行僧のような微笑を浮かべていたが、17年と言う歳月がすでに流れていた。

やっていないと言う事実だけで、17年の歳月を耐えられるものだろうか。冤罪の恨み苦しみで憤死しそうな日常を耐えてきた菅野さんの精神力もさることながら、私は運命に翻弄された彼の人生が、今後の司法の大きな転換の土台になって欲しいとん願わずにはいられない。

DNA鑑定という天下の宝刀が両断された。事件当時の鑑定が非常にあいまいであることが、報じられたことが一度としてあったろうか。信用性や信憑性という言葉が司法から瓦解した。

菅家さんが幸いにも死刑になっていなかったからいいものの、人間が人間を裁く危険性と命の尊厳を深く深く私は考えさせられた。

死刑廃止論に拍車がかかるのは間違いない。私も死刑廃止論者の一人である。しかし殺人者の無期懲役が恩赦や模範囚であることで、短縮され釈放されることには反対である。人をあやめた事実を一生刑務所で反省し償って欲しいと思っている。

1991年と言えば、ほぼ私が今の塾を始めた頃と重なる。私が塾をやってきた間、菅家さんは刑務所に入っていたことになる。なんという悲劇だろうか。

解放された菅家さんは、外で飲んだコーヒーが一味も二味も違っておいしかったとおっしゃっていたが、その言葉に私は涙が止まらなかった。

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