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2009年5月16日 (土)

机上の理論

お金が欲しい。家が欲しい。車が欲しい。名誉が欲しい。恋人が欲しい。生きていると欲しいモノがいっぱいあります。

大人の欲望も限りがありませんが、子どもたちの欲望もまた限りがありません。ゲームが欲しい。ケータイが欲しい。パソコンが欲しい。欲しいものばかりです。

「成績が上がったら買ってよ」 子ども達は勉強をすることの代価として欲しいものを手に入れようとします。努力をすることで何かを手に入れるという動機は悪くはありませんが、勉強することの最終目標が物質的欲望をみたすためと言うのはいただけないような気がします。

お金や物を目的として若い頃の勉強を奨励してしまうと、大人になった時、お金がないことや仕事のない喪失感に耐えられない人間になってしまい、極端な結果として欝や自殺などの悲劇を生んでしまいます。

勉強が必ずお金や物に直結するという教育や育て方は、やめたほうがいいように私は思います。なぜなら大人になってみれば分かることですが、世の中は理不尽さや矛盾が錯綜する社会です。学歴があっても生活力がない大人が増えています。それは勉強することの目的意識の出発点がずれているからです。

スポーツ競技と違って、本来勉強というのは順位や点数で優劣を決めるものではありません。どれだけ生活力や人間力として将来に役立つかが問われるものです。試験の順位を上げることやいい学校に入れることが一番の目的になってしまい、何のために物事を学ぶのかという根本が分からなくなってしまっているのが現代社会だと思います。

我々の父や母の世代の方々は、中学校しか出ていない方がおおぜいいらっしゃいます。しかし、すばらしい人生哲学や、生きて行く知恵を持っておられます。話を伺っていても、本当に学ぶことが多くあります。なぜでしょうか。

それは生きるために自分達が何をやらなければならないかを知っているからです。難しい高等数学が分からなくても、英語が読めなくとも、生きていくために自分達が何をやらなければならないかを自ら学んで、そして実行してきたのです。それが生きるということだと思います。机上の理論だけで人生の栄光は訪れません。

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