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2009年5月30日 (土)

東大の問題はだめですと言うわけにはいかない

私は、高校生は大学受験の英語指導と国語の論文指導が担当だが、小中学生は全教科をみている。私の塾教師生活も27年が過ぎた。実は大学を終えて最初に担当したのは、中学受験をめざす小学生の社会科だった。

今でも鮮烈に記憶していることがある。小学校3年生の社会科と言えば、地方の小学校では家のそばを流れる水路を調べてみようみたいな内容だが、中学校受験をする小学校3年生の社会科は中学生の地理と同レベルの問題を課していた。

開成中学や麻布中学をめざす優秀なクラスの子どもたちは、これが小学生かと言うくらい自己管理ができ、目標意識がしっかりしていた。将来東大に入りたいですと、公言するその態度に、東大どころか国立も有名私大も縁がなかった私は、ただただ感心したものだった。

岩手に戻って勤めた私塾でようやく専門の英語を任されたが、まさかの数学も担当させられた。25年前のことである。今思うと、あの頃の経験が私の何でも屋の精神を育ててくれたと思っている。大学で学んだ専門教科や教科の好き嫌いに関係なく、要求されるものを子どもたちに教えるという、その強引とも思える当時の塾の姿勢が、今の私の塾教師としての足場を築いてもらったような気がする。

私の持論であるが、一つの教科の受験指導を3年間続けられたなら、私はその教科でめしが食えると考えている。逆に、3年目で結果が出せなければ、5年やっても10年やっても塾教師としては大成しない気がする。

従って私は高校数学を何度挑戦しても半年ぐらいで挫折してしまうゆえ、塾の指導教科には加えていない。今の低料金で、高校も全教科を指導してもらえませんかと言われるのだが、残念ながらそれは100パーセント無理である。

大学受験指導を経験してきた先生方ならばお分かりいただけると思うが、大学受験の専門科目を教えることは、たとえ一教科でも気が遠くなるようなバックボーンが必要である。月謝が高かろうが安かろうが、看板を掲げた以上は、地方の私大の問題は教えられるが、東大の問題はダメですと言う分けにはいかないのである。

たとえば論文指導などは簡単な添削作業だと思われる方がいるかも知れないが、どんな先生でも、指導のその陰には、何千冊にも及ぶ読書経験や文章の鍛錬があるはずである。ちまたで売っている“10日でできる入試論文”とか“1週間で分かる高校英語”などというものはあり得ないのである。受験生には失礼な言い方かも知れないが、受験勉強をなめてはいけない。

またこの不況で、給料も上がらないので脱サラをして塾でも始めようかなと思っている方にも、参考までに申し上げておきたいのだが、問題が解けることと教えることは別物である。ひょっとしたら学歴も関係ないかも知れない。そのところを勘違いしてしまうと人生を誤ることになる。重々お気をつけ頂きたい。老婆心ながら中年塾教師のお節介でした・・・・。

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コメント

ひさびさのコメントです。
同じ私塾でわたしが最初に所属したのも「数学班」でした。国語をやりたかったのですが、右も左もわからないまま数学班に入り、最初の受験生を送り出しました。
今考えると、わたしもあの頃からの経験があるので、現在の指導が可能なのだなと思っています。
高校生の指導は本当に大変だと思います。私は国語と英語しか見ていません。数学は谷先生にまかせています。
だれでもできそうな仕事に見られることがありますが、この仕事で食べていくのはそうそう楽ではありませんね。


(かねごん)
小林先生コメントありがとうございます。
受験が終わりしだい遊びに行こうと思っていましたが、高校の授業やら卓球の指導が入り、ずっとご無沙汰しています。
先生のブログを毎日拝見しておりますが、毎日内容が濃く、刺激を受けながら楽しく読んでおります。古代東北の前九年の役をモチーフにした架空対談集は圧巻です。
私も小林先生に負けないようがんばります!それでは。

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