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2009年4月20日 (月)

すべてに理由がある

明日からは修学旅行組も帰ってきて、いつも通りの塾が始まる。学校でも新一年生の通常授業が始まる。日常の復活である。

この時期学校や学級に慣れはじめてくると、いろんな光景が客観的に見えてくるものだ。クラスメイトの個性や先生の雰囲気や部活の先輩の様子など、それぞれの尺度で他人をはかり始める。しかしそこに危険な落とし穴がある。自分の価値観だけで他人を推し量っていくと、時に大切な人を失いかねない。自分に対して都合のいい人間だけと付き合い始めると、自分を見失うことがある。気をつけて欲しいものである。

大人社会でもそうだが、YESマンだけを自分の周りに置いて、裸の王様になっていると大変なことになる。苦言を呈する人の存在をないがしろにすると必ず痛い目をみる。

調和とか協調性を大切にする日本社会がゆえに、事なかれ主義が横行しがちであるが、本当に相手のことを思えば厳しい一言も必要ではないだろうか。調和と妥協を履き違えている人が多く見られるのは残念だ。

表向きはフレンドリーでも、陰では他人をこき下ろす人が多く見うけられる。これは子ども達を見ていても言えることだ。人間関係が疑心暗鬼になっている。余裕のない時代なのだろうか。自己中心的な欲望を各自が求めてしまえば、車輪は上手く回らない。

例えばクラスで不登校になっている同級生がいても、それが普通の光景になってしまい、なぜ学校に来ないのかとか、来れなくて大変だろうな等の話題が学校では出ない。自分のことで精一杯なのか、他人の窮状を思いやる想像力が欠如しているのか、無機質的な子ども達の感情に戸惑うことは多い。

我々人間は必ず他人に支えられて生きている。その恩返しとして他人を思いやる心を忘れてはいけないはずだ。現代社会で、生かされているはずの人間関係が、逆にストレスを生み欝や自殺などの悲劇を多く生じさせてしまっていることは本当に痛ましい。

学歴や好条件の仕事を求めることに奔走し、真の幸福が何なのかを心の感性で捉えることが難しくなっているのかもしれない。桜舞い散る山際に、沈んでゆく大きな夕日の美しさをめでる心や、軒下にやってきた、今年最初のツバメ達の長旅をねぎらってあげる心の余裕が欲しい。

たまたま同じ国に生まれ、たまたま同じ学校に入学し、たまたま同じクラスになったわけでは決してないような気がする。すべてに理由がある。忘れないで欲しい。

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