ララ、さようなら
私が塾をやってきた20年間、もちろん家族の支えが精神的な大きな力だったが、塾をやってきた中で一番お世話になってきたのは、教室としてテナントを借りている大家さんである。
私が初めてお会いしたのは、定年直前の頃だったので、もう80歳近いと思うが、大型の車を運転し元気である。二度ほど体調を崩し入院されたが、その後可愛がっている愛犬のララと、雨の日も雪の日も散歩を欠かさない毎日を送っておられた。
五年前、元手のない私のために塾を建て替えてくれたのも大家さんだった。「かねごんさんから頂く家賃をローンに当てて支払っていくので、私が建てるよ。ただし10年は使ってもらえるかな」そんな感じで快く教室を建て替えてくれた。本当に感謝でいっぱいである。
その大家さんが昨日、奥様としょんぼり佇んでいた。いつもララと散歩する時間だったので、話を伺うと、体調が急に悪化し三日前に死んでしまったのだという。13年間いつも教室の前を元気に駆けていたララが、急にいなくなってしまった寂しさが胸にこみ上げてきた。
大家さんも奥様も、よほど悲しまれたのだろう、憔悴されていた。我が家の老犬はもうすぐ14歳になる。二年前から喘息を患い大変な状況だが、何とか今年の冬も無事に乗り越えた。その点ララはとても元気だったのに、本当に残念である。
この原稿を書いている教室の窓の下に、いつもの愛嬌を振りまいてララが走ってくるような気がする。ララ、さようなら。13年間ありがとう。(合掌)
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