故郷のエネルギー
市内のいくつかの高校が卒業式を迎えた。日陰にはまだまだ多くの雪が堆積し、池には氷が残り、寒い風景が点在するが、陽の輝きは確実に春の装いを呈してきた。
私の家のまわりの田んぼに飛来する白鳥達も、北に帰る季節が近づいたことを知ったのか、しきりに羽ばたきを始めている。
私は岩手に生まれて良かったと思うことが三つある。その一つは渡り鳥がいっぱいやって来ることだ。雁や白鳥が青い冬空を大きな羽を広げ舞う風景は、自分の感性や思考にきっと多くの影響を与えられてきたと思っている。冬の到来や春の到来を鳥達に教えられる感性は、北国ならではのものだろう。
二つ目は、奥州平泉の藤原文化に日常的に接することが出来ることだ。ふと自分を見直したいような時に、金色堂がある関山に私はよく登る。古代人たちが東北人の威信と尊厳をかけて戦った鎮魂の風が聴こえてくるような気がする。藤原三代の亡骸が眠る金色堂の威厳は、ややもすると失いかけそうになる私の教育に対する闘争心を駆り立ててくれる。
三つ目は、宮沢賢治が生まれ育った郷土の風を共有できることだ。賢治の登った山、賢治の歩いた道、そして賢治の描いた風景は間違いなく岩手イーハトーブのものであり、賢治そのもの原風景だ。賢治の作品から与えられたインスピレーションは、少年だった私の宇宙観を変えたと言っても過言ではない。
野山を駆ける一匹の野うさぎにさえ、私は山の神秘と生きる奇跡を感じる少年になっていた。
卒業を期に、多くの若者達が岩手を離れ都会に旅立って行く。どうか故郷を忘れず、故郷で培った感性やエネルギーを枯渇させないで欲しいと願うかねごんである。
塾・予備校ブログランキングに参加しています。よろしかったらクリックをお願いいたします o(_ _)oペコッ
大験セミナー春期講習ご案内http://daiken.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-a8aa.html
コメント