ほでなす父ちゃん
私の住んでいる田舎には実に多くの方言がある。関東以南にお住まいの方が、生粋の岩手県人のお年寄りの会話を聞いたならば、字幕スーパーなしでは理解できないだろうと思う。
数多くある方言の中に、『ほでなす』という言葉がある。例えばこんなふうに使う。「おらいの父ちゃんいつも酒ばっかり飲んでほでなすだ」。『ほでなす』という言葉は、常識がなく、無理難題を言う扱いにくい人という感じの形容詞である。
かつて教育講演会を頼まれた時に、主催者側より「どのような題目でお話しされるのでしょうか」と言われ、なかなかいいタイトルも思い浮かばず、「ほでなす父ちゃんの子育て奮闘記」でなどと、ドサクサ紛れに答えてしまったことがあった。
講演当日某小学校の体育館に入っていったところ、壇上にでかい垂れ幕が掲げられており、『ほでなす父ちゃんの子育て奮闘記』などと大書されていたものだから、照れるやら戸惑うやらで、困ったものだとあせってしまった思い出がある。
いつものことで、原稿用紙などで講演内容を吟味していなかった私は、垂れ幕の題字を盗み見て、冷や汗ものだった記憶ばかりで、話した内容の七割ほどは完全に忘れてしまったが、「父親はほでなすでいい、子どもに切れるならとことん切れて、後は一杯愛してあげてください。息子さんや娘さんに、うちの父ちゃんほでなすだから、ちゃんとしなきゃぐらいに思われる父ちゃんでいい」などと分けの分からない結論を述べて壇上を降りた記憶がある。
後日送られてきた感想アンケート資料に、「とてもためになりました」「例年ならこっくりこっくりしてしまう教育講演会ですが、寝ないで最後まで聞けました」、などの絶賛の声を頂いた(・・笑い)。
だいたい下ネタと切れネタははずれがない。タネを明かせばそんなところである。
言わば私もほでなす塾教師である。中学生や高校生の男子生徒の前では、保護者の方には絶対聞かれてはいけないようなオヤジネタの話を頻繁にする。こども達は爆笑の嵐である。
「家に帰って今の話するなよ」などと、脅かしているかねごんであるが、きっとしているだろうな・・・・・
保護者の皆様、私かねごんは、ほでなす父ちゃんです。お許しください・・・・・
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