拝啓S先生
先生があちらの世界に旅立って3年半の月日が過ぎましたね。先生の塾で学ばせていただいた5年間は、私にとってかけがえのないものでした。
酒と女とそして野球を愛された先生は、奔放で、団塊の世代を絵に描いたようなガンコさを身にまとい、古き善き時代の塾屋だったような気がします。先生が営まれてきた塾はなくなってしまいましたが、先生のもとで働いた多くの先生方が、今現在塾屋をやっています。
そして私もその一人です。20年前私の送別会で、涙を流してくれた先生のことは今でも鮮明に覚えております。「かねごんがいなくなると寂しいな」とおしゃってくださいましたね。あの時の先生の言葉が、私が塾に行き詰まり投げ出したくなった時、なんど励みになったでしょうか。
先生の告別式に本来なら弔辞を述べさせていただくべきでしたが、その頃私も体調が精神的にも肉体的にも厳しいときでした。今後の塾経営にピジョンが見いだせないでおりました。先生の告別式の日に、昔の同僚の先生方に久しぶりにあい、それぞれの塾経営のお話を伺い、何か吹っ切れるものがありました。
その一つとして、このブログを立ち上げたのもそうですし、本格的に幼児教育をスタートさせたのも、先生とのお別れの後でした。
そう言えば先生は若い頃、テンプターズやワイルドワンズ等のグループサンズが華やかかりし頃、プロデビューをした経験がありましたね。亡くなる2年ほど前の年賀状に、「かねごん先生と音楽のセッションをやりたいね、最近エレキギターをまたやっているよ」と書かれておりましたが、残念ながら実現しませんでした。
可愛いお孫さんが生まれ、これから楽しい余生が待っておられる人生かと思っておりましたが、早々に旅立たれたことが残念でしょうがありません。
先生が30年間塾屋をやってきた姿は、時に反面教師の時もありましたが、常に子供たちのことを真剣に思う情熱にはいつも敬服しておりました。時代が変わり、塾屋の様子も昔とだいぶ違ってきましたが、子供を育てる情熱が一番であることに変わりはないと思います。
先生のもとを巣立って私も20年になりました。私の塾から巣立って塾を営んでおられる先生もいます。面々と塾屋の血は受け継がれて行くのでしょうね。
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