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2008年11月 4日 (火)

息子からの贈り物

昨年の夏、息子から一枚のCDをプレゼントされた。マイルス・デイビスの『マイルズ・スマイルズ』である。CDジャケットの解説を読まずとも、びんびんとニューヨークの秋の風景が心の中の心象に忍び込んでくる作品だ。

アルバムの二曲目に収納されている『サークル』は、この季節最高の一品だ。マイルスの物憂げなトランペットに、ハービーハンコックの優しいピアノが寄り添ってくる。そしてロン・カーターのつつましいベースがまたいい。

我が息子が何を基準に買ってきたのかは定かではないが、ラップばかりを聴いている我が息子にしては、偶然にしろ、すばらしいチョイスだ。1966年10月24日、ニューヨークスタジオでの録音であるが、マイルスがマイルスとしての輝きを一番放っていた頃の作品の一つだと私は思っている。

この作品以降、マイルスはモードと呼ばれるジャズの手法を斬新にも崩していき、ハーモニーからの開放を試みていくのだが、ぎりぎりのところでロマンチックな感性を保とうとするマイルスの切なさが、このアルバムには感じられる。

長い人生の中で人は模索をする。一見華やいで見える成功の陰で、「こんなはずじゃなかったと」ジレンマに似た感情がわいてくる時期が誰しもある。マイリスの70年代がそうだった。既成のメロディーや、リズムセクションを解体することで、時代に迎合しようとする彼の苦悩が始まった時代だ。

今でこそ1950年代から60年代にかけてのジャズは、バラードやモード奏法の珠玉の名作の宝庫として、中年のオールドファンならず多くの音楽ファンの絶賛を浴びているが、当時のジャズミュージシャン達は、音楽界を圧巻し始めたロックミュージックの台頭に、自分達の存在を危惧していたのかも知れない。

何気なくつけたラジオから流れてくるジャズでも、ふと入った喫茶店から流れてくる曲でも、マイルスのトランペットは一発で分かる。それだけ彼独特のミュートしたラッパの音は独創的だ。時によって真夜中の孤独であったり、朝の摩天楼の悲しみであったり、恋の予感だったり、マイリスの奏でるラッパは実に感情が多彩であり、心が揺さぶられる。

大人なの秋を満喫できる曲として、マイルス・デイビスの『マイルズ・スマイルズ』はおすすめのアルバムです。聞いてみて下さい。

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