ブルーモーション
ブナの木や楓の木々が風でざわざわとどよめいている。風がやって来る先に目をやると、遠くに見える山の峰があきらかに夏の青さではない。
風に舞う隼(はやぶさ)が、頭上の高くなった空を横切っていく。放たれた牧場の牛達がほうばる草の色も、心なしか元気がなくなったような気がする。
収穫近くなった田んぼの中を、あわただしく行き交う雀達。のんびり佇む田んぼの案山子(かかし)など眼中にないようだ。しまいには案山子の頭の上にとまっている。
一雨ごとに朝晩の気温は下がり、町を闊歩する人の姿も秋模様だ。サンダル履きのおじさんも少なくなった。衣替えを前にした高校生達は、ワイシャツの上にカーディガンを着ている。
今週、新聞の記事で中学校時代の同級生の訃報を知った。280名の同級生のうち、50歳を前にして15人の同級生が天国に旅立ってしまった。
毎日毎日を中学生と過ごしているためだろうか、自分の中学生時代がそれほど昔に感じられないのだが、ゆうに30数年の時が過ぎてしまっている。
小学校も中学校も、そして高校の学んだ校舎も、長い年月の間に壊され、立て替えられなくなってしまった。自分の学んだ教室の机に佇んで感慨に浸ることも、もうない。30年の歳月とはそういうものなのだろう。
たいがいの同級生達は子育てを終わろうとしている。すでに孫ができた同級生も結構いる。毎年秋の季節を迎えると、ふと自分の人生を振り返ることが多くなる。寒さのせいだろうか、なぜか人恋しくなり、少年の頃の日々を思い出しては、栗拾いやアケビ採りをした悪ガキ仲間を思い出す。
放課後の教室のざわめきや、部室にこもったかび臭いにおいがふとよみがえる時、あの頃の自分と同じ時代を今生きている塾生たちが、とてもうらやましくもあり、いとおしくもある。
彼らが歩んでいく、多くの時間多くの道、そして多くの出会い、多くの別れ。学びの道が続いていく。
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