グルジア、アフガニスタンを取り巻く情勢
アフガニスタン東部で、ペシャワール会スタッフの農業指導員、伊藤和也さんが遺体となって発見された。足や頭を銃で撃たれており、乱射に近い状態だと新聞各紙は報じている。
異国の地で、31歳という若さで散っていった伊藤さんの尊い命を思うと、とてもやるせなく、残念である。言葉がない。心よりご冥福をお祈り申し上げる(合掌)。
グルジアの問題もそうであるが、アフガニスタンの国内情勢を悪化させた最初の要因は、1979年のロシア(旧ソ連)のアフガニスタン侵攻にある。この年も自国開催であるモスクワオリンピック直前の年であり、今回のグルジア侵攻といい、オリンピックを利用するきな臭い行動は、ロシアの常套手段のような気がしてならない。
1978年、アフガニスタンは共産主義政権を樹立した。それを支援する目的で旧ソ連軍はアフガニスタンに侵攻する。結果、反政府組織であるタリバン等が台頭し、その後のアメリカの侵攻で、事実上無政府状態に陥り、治安の悪化は今に至っている。
ロシアの南下政策は、1904年の日露戦争に遡る。長い冬の間氷に閉ざされるロシアの軍港は、有事の際用をなさない。従って南国の軍港が喉から手が出るほど欲しいロシアであった。
現代はミサイル戦争の時代である。ロシアが欲しいのは軍港ではなく、資源である。ロシア平原や中央アジアにおける石油、ガス田の開発に力を注いできたロシアは、多大な利益を上げ、モスクワの好景気を築き上げた要因の一つになっている。
人間というものは一度手にしたものは使いたくなる。その際たるものが戦争の道具、各種の兵器である。戦争は多大なる犠牲を生み出す地球上で最も悲しく愚かな行為である。しかし残念ながらなくならない。戦争によって巨額の富を得る軍事産業がある。戦争によって国益を守ろうとする道徳のかけらもない政治家も存在する。
最新鋭のミサイル戦闘機を一機買うお金で、南アジアやアフリカで餓えている人達の、命を繋ぐ当分の食料をまかなえる。日本に置いても、アメリカから巡航ミサイルを搭載した軍用艦を一艘買うお金で、ネットカフェ難民やホームレス状態になっている若者全員に、職業訓練及び、就職支援を行うことが出来るはずである。
なぜ人を殺す道具にお金をかけ、人を救うことに躊躇するのだろうか。もうすでに地球上の人類を7回は絶滅できる量の核兵器を所有し、いまだに祈る神様が違うだけで殺しあっている悲しい人間達。
今回のロシアのように、隣の庭が豊かそうだからと、戦車で隣の家に乗り込んで行く愚かさ。人のために一生懸命頑張っている人を、国籍や肌の色の違いから躊躇なく殺してしまう残忍さ。負のスパイラルを止めなければ、人類の未来は危うい。
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