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2008年8月29日 (金)

人生は時間が限られている

不得意なことや嫌なことに、自虐的に時間を費やし、ストレスを溜め、ため息をついている子どもや若者が多い。

仕事でも勉強でもそうだが、忍耐力を養う修業を意図的にやっているならまだしも、人生は長いようで実は短い。自分という存在価値を引き上げることをやらず、自分の欠点だけを補修しようとする時間の使い方は、もったいない気がする。

楽しく生きることを罪だと考える日本人は実に多い。特にわたしの母親の世代のように、戦争を経験してきた日本人は、無意識のうちに楽しむことを回避するトラウマがあるように思える。

しかし現代は違う、楽しい人生を送ることに何も躊躇(ちゅうちょ)はいらない。受験勉強もしかりである。勉強は十字架を背負った苦悩ではない。楽しみながら勉強をすれば良いのだ。

もし勉強がまったくつまらなく、心底学習意欲がわかないのなら、君が進みたい方向性が違うのかも知れない。音楽であったり、伝統工芸だったり、職人的仕事であったり、公教育とはかけ離れた所に君の目指すものがあるのかもしれない。

まったくつまらないことを、日々続ける虚無感は苦しいと思う。「高校ぐらい行かないとダメよ」。その言葉が全然勉強の後押しにならないことを、私は長年の経験で重々承知している。得意なことや意欲のわくことをやって、初めて人は輝くのではないだろうか。

わけ知り顔の大人は言う。「仕事はそんなに甘いもんじゃない。天職などというものを捜し求めていたら路頭に迷ってしまうだけだ。まず働け」と。この手の言葉がどれほど若者の心を傷つけ、ニート的日常に追い込んでいることか。

人生は限られたスパ-ンしかない。やりたいことがあったらまずそのことにエネルギーを向けてみることだ。私が生徒達にいつも言う言葉である。「君がやりたいと思う仕事や夢は、君にその可能性があるから君の心の中に芽生えたのだ。だから頑張りなさい」。

進学校に入り、目指せ国立大学の旗印のもと、苦手な教科にエネルギーを吸い取られ、本来自分がやりたいと思っていた教科までが手薄になり、蓋を開けたら国立大どころか中堅の私大も全滅という生徒がいっぱいいる。

自分の能力を他人の判断にゆだねてはいけない。自分の才能や能力を一番知っているのは、あなた自身以外の何者でもない。勉強から逃げろと言っているのではない。「他人にはない自分の能力に気づきなさい」と言っているのである。

受験生諸君、人生は限られている。嘘、偽りのない自分の思いをぶつけられる人生こそ、素敵な人生ではないだろうか。

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