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2008年8月 2日 (土)

朝四時過ぎの駅前で

神奈川の実家に里帰りしていた家内と息子が深夜バスで帰ってくるので、朝四時に起き出して一関バスターミナルに向かった。駅前に四時過ぎに出向くのは5年ぶりだろうか、夏の夜明け前の街は不思議な静寂とともに、祭りの後のけだるさのような雰囲気を醸し出している。

意外に人が結構歩いているのには驚かされる。深夜バスの到着を待ちながら朝の四時過ぎに自転車に乗って走り去る初老のおじいさんや、大きなカバンを持ったおばさんはいったいこの時間どこに行くのだろう、もしくは家に帰るのだろうかなどと少なからぬ興味がわく。

車がライトをつけようか消そうか、そんな戸惑いを感じる時間帯、学生時代の新聞配達を思い出す。夜がまさに朝に向かって白み始める時間、自転車をこぎ、新聞を抱えながらアパートの階段を忍び足で足早に駆ける一瞬一瞬、朝日が静かに上がろうとしていた。

あの時私は何を考えていたのだろうか。立ち止まって朝焼けの美しさに感動したことはあっただろうか。学校の授業に遅れないように、時間を気にしていたのだろうか。新聞の刷ったばかりのインクの匂いと、汗ばんだ手のひらの感触が、早朝の街を見ているとふとよみがえってくる。

そんなことを考えていた時、私の車の横を新聞配達のおじさんが、自転車で走り去って行った。ここ10年ほど、新聞配達をする中学生や高校生の姿を見かけたことが無い。私たちの頃はバイトの定番だったが、今はこんなキツイバイトははやらないのだろう。

お金が無くてネットカフェ難民になっている若者達は、住み込みの新聞配達などは考えないのだろうか。楽をして生きることと、楽しく生きることを履き違えている若者はいないだろうか。どんな仕事でも糧を得る仕事に、卑賤はない。

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