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2008年6月26日 (木)

豊かさの陰で

 大きな事件が起きると、連鎖のごとく類似の犯罪が起こる。人が人をあやめてはいけないという根本の約束事が、むげに破棄されてしまう現実を前にすると、人間という存在の弱さを痛感してしまう。

 人間の歴史を遡ると、戦争や闘争の歴史だ。支配されるものと、支配するもののテリトリーの奪い合いが永遠と続いてきた。しかし現在日本を含め、先進国と言われている国々で多発する凶悪犯罪は、イデオロギーでも正義でもなんでもない。自分の不幸ややるせなさを、他人を抹殺することで贖おうという狂気の犯罪ばかりだ。

 人を殺してはいけない理由が話題になる社会など、マトリックスのような仮想社会での出来事だと思っていたが、そうではない。

 この世に存在する奇跡。人間と人間が出逢い、愛し合う奇跡。その奇跡の連鎖の中で、育まれてきた大切な命。その命を人生の途中で奪う権利など、たとえ神様であろうと持ってはならない。

 人間の精神が退化していると言う心理学者が多い。退化したのではない。豊かさという名の文明社会が、人間の精神を病ませてしまったのだ。現代人は病気を患っている。ごく一部の豊かな社会を見せつけられ、その幻想を求めようとするあまり、お金や物の呪縛に捕らえられ足場を見失ってしまったのだ。

 多くの不平等と多くの経済格差、資本主義社会が生み出した競争原理が、ことごとく弱者をねじ伏せ、立ち直る機会さえも奪ってしまう。それが現代社会だ。毎年3万人の自殺者を出しながら、他人事のように振舞える国家になってしまった。悲しいことだ。

 バイト社員という言葉を派遣社員という名前にすり替え、無職青年をニートという言葉に置き換えただけで、物事が楽観視されたような幻覚を与えられている社会で、追い込まれている若者達が多くいる。

 学生運動も無い、シュプレッヒコールもない、一見平穏に見えるこの現代社会で、じっと息を殺しながら、ネットカフェで、自分の不満をネットに書き続ける若者達。私はその痛ましい光景に涙さえこぼれてくる。

 いったい誰が若者達をこれほどまでに追い込んでしまったのだろうか。日本社会がひたすら豊かさを追い求めてきた代償が、日本の若者に悲しみをもたらしているのだとしたら、豊かさの本質を真剣に考えなければいけない。

 『いたわりや』『思いやり』という言葉が、キャッチフレーズになってしまった国、この日本。あまりにも寂しくはないだろうか。

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