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2008年3月28日 (金)

初恋

 愛称ヒロちゃん、塾の同僚が28歳の若さで他界した。今度の3月31日で、20回目の命日がやって来る。前日まで一緒に働いていた彼の突然の死は、悲しみ以外のなにものでもなかった。

 私と同い年で、私と同じように農家の長男として生まれた。東京で大学生活を送り、郷里に戻り塾の先生をやっていた。私と同じ境遇で、同い年、なんど一緒に酒を飲み交わしただろう。私の家にも何度か泊まり込みで来て、飲み明かした。

 命日には何度かお墓に花を手向けに行った。途中ヒロちゃんの家の前を通るのだが、跡継ぎを失った彼の家はひっそりと佇み、空虚感が時間を止めたまま、春の日差しだけがただまぶしかった。

 4年弱のつき合いだったが、同い年のよしみでいろんな話をした。そんな中で忘れられない会話がある。地元の東北自動車道のインターでの休憩場だった。

 「高速道路をこうやって東京に向かう自動車の流れを見ていると、なんか切なくなるんだよね。いいな、みんな東京に向かっているんだと思うとさ、田舎にいる自分がなんか寂しくなるんだよ。」ヒロちゃんはこんなことを話してくれた。彼は続けた。

 「高校の時さ、東京の大学に行きたくて、一生懸命勉強した。東京に行けば、自分が大きくなれるんじゃないかと思ってさ。でもなんか違っていたんだよな・・・」

 ヒロちゃんは、少し体に不自由な所があった。自分の目指した夢と、現実のギャップを私に話したかったんだと思う。当時25歳だった私も、いろんな思いを抱えて揺れ動いていた。高速道路を使って東京に向かうたびに、ヒロちゃんの言葉を思い出す。

 ヒロちゃん先生は、心優しい生徒思いの先生だった。私が結婚した時、「いいな~、いいな~」と言っていた彼の笑顔が今でも忘れられない。

 若くして天国に旅立った友は、夢に出てくるときは若いまんまの姿だ。生きている者だけが年を取って行く。ヒロちゃんが生きていたら、今の私の仕事を見て何て言うだろうか。するどい指摘をしてくるんだろうな、彼特有のやわらかい言い回しで。

 昨日塾に行く途中、カーラジオから『初恋』が流れてきた。懐かしかった。カラオケに行くとヒロちゃん先生がいつも歌っていた曲だ。

  好きだよと言えずに初恋は~   一緒に乗っていた今度中1になる末の子が、歌を口ずさんでいる。「何で知っているんだ」 「だってCMで流れてたよ」

 20年の時を経て、名曲は歌い継がれていく。ヒロちゃんの初恋はどんな恋だったんだろう・・・・・・。

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コメント

もうあれから20年になるんですね。あのとき別の塾を作ろうという話が進んでいたことも思い出します。広義先生が亡くなって、みんな放心状態のようになり、いつの間にか分離独立の話も立ち消えになりました。思えば遠くまで来てしまったような気がします。


〈かねごん)
コメントありがとうございます。「初恋」を聞いて、広義先生の歌う姿がよみがえってきました。この20年間いろいろなことが本当に多くいっぱいありました。あの激動の日々が、なかなか懐かしい思い出にならないところに、まだ延長戦を戦っている今があります。

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