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2007年12月 7日 (金)

こたつでジャズを

 さむい季節になると、ジョン・コルトレーンのバラードを聴きたくなります。暖炉の前でくつろいでいるような暖かい感覚に浸れます。

 ジャズを聴き始めたのは10代の後半だったでしょうか。大人のけだるさをちょとかいま見たような、とてもセクシーで、思索めいた音楽に引きつけられたような気がします。

 サックスの音が一番好きですね。喜びや悲しみ、人間の感情が一番ダイレクトに伝わる楽器ではないでしょうか。

 親元を離れ一人暮らしを始めた頃、東京の風景とジャズの音楽が憎らしいほどマッチし、心をしめつけられたのを覚えています。群衆の中の孤独をジャズが癒してもくれましたが、時としてその孤独感をきわだたせてしまうのもジャズでしたね。

 コルトレーンの曲の中では、彼が初めて出したリーダー盤『コルトレーン』の中の「コートにスミレを」が、とてもドラマチックで好きですね。この曲はマット・デニスの作曲によるものですが、ガーランドのピアノ・トリオをバックに、若きコルトレーンの息づかいが聞こえてきます。

 なにか迷って立ち止まってしまった時にこの曲を聴くと、「だいじょうぶ、やってみようよ」と、前向きの風が吹いてくるんですね。とっても力強いバラードです。

 彼が発表した盤の中ではやはり、1963年にリリースされた『バラード』が完成度といい、演奏のモチベーションといい、群をぬいていると思います。コルトレーンのテナーサックスが聴くものの五感を刺激し、感情を揺さぶってきます。

 3年に一人くらいの割合で、音大志望の塾生が入ってきます。クラッシックをやっている彼らに1960年代のブルーノートのCDを貸してあげると、みんな凄いと言いますね。旋律がきれいだと言います。

 1970年代以後のジャズは正直言ってあまり好きじゃありません。と言うか聴かないですね。ロックミュージックに迎合したジャズはもはやジャズというジャンルの曲ではなくなってしまいました。ロックはロックでいいですし、ジャズはジャズのままでいて欲しいと思います。

 もしこれからジャズをたしなみたいとお思いの方がいらっしゃったならば、1960年前後の録音盤のCDをお勧めします。アートペッパーやマイルスディビス、ビルヱバンス等のジャズメンから入って行けば、後はジャズの幽玄の世界にどっぷり導かれて行くことでしょう。

 ワインを片手に暖炉のそばでジャズをといきたいところですが、芋焼酎のお湯割りを片手に、こたつの中で聴くジャズもなかなかおつなものです。

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